a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

All the King's men(1949) - 酒により悲劇が始まる

Robert Rossen監督 偶然酒に溺れたことにより、幸か不幸なのか、「選挙に勝つ方法を知って」しまった哀れなWillie Sarkeの物語である。Broderick Crawfordの父権主義的な外見と演技が、その悲劇を引き立てた。必要に応じて短いシークエンスをつなぎ合わせて…

The Diary of a Chambermaid (1964) - 閉塞

Luis Buñuel監督 オクターヴ・ミルボー、ピエール・ルイス、ユイスマンスなど読書家で会ったBuñuelがミルボーの小説を映画化した。本来一人称で会った作品を、冒頭の数ショットによって見事に三人称へと変形して、以後は昆虫学を修めた彼らしい独自の解釈も…

Never Let Me Go (2010) - 童顔の功績

Mark Romanek監督 奇跡といえるほどの童顔、キャリー・マリガンとガーフィールドの出演によって本作は成り立っている。顔の老けた俳優たちであったら、退屈なダーク・サイエンス・フィクションになってしまっただろう。本作鑑賞後に、原作小説を読んだのだが…

A Way in Untilled (2012) - 自然の営みの時間を忘れた永遠なる概念

Pierre Huyghe監督 10分に満たないこの作品の中には、裸婦の彫刻とそれに群がる蜂の大群によって対比されている。あるいは、澄んだ水の中で水を掻き分けるのすら重労働であるかのように必死にうごめく水生昆虫や、犬の四肢に群がってその肉を食おうとするア…

L'iris Fantastique (1912) - 普通

Segundo de Chomón監督 今回、監督の作風の中ではいたって平凡な作品に見えた。ただし、ストーリーが措定されていない作品においては、映画というよりもむしろ芸術映像として、技巧映像として視聴するほかない。その意味においては相変わらずの魅惑的な画面…

A Sammy In Siberia (1919) - 普通

Hal Roach監督 1919年の作にしては平凡な作品である。

Feline Follies (1919) - 独特な尻尾

Pat Sullivan監督 ネコの独特な尻尾の描写が特徴である。私は、ミルクを飲んだネズミが黒から白へ変容した様が気に入った。

The Hasher's Delirium (1910) - 見事な変容

Émile Cohl監督 ストーリーにはなっていないけれど、見事な変容を見せた。

Tiny Tim and the Adventures of His Elephant (1913) - 象の力

監督不明 フランスの映画であるそうだが、監督名が調べられなかった。象があまりにもストーリーに忠実に動くので、私は人が中に入っているものと思っているのだが、一方で本物の象にも見えた。象をストーリーの主軸に置くのは難しいようで簡単であり、撮影す…

Max Is Stuck Up (1910) - 張り付く

Max Linder監督 マックスが張り付き男になってしまい、様々なドタバタを繰り広げる軽快なコメディ。

The Grim Game (1919) - 空中戦

Irvin Willat監督 Harry Houdiniは奇術師である。その術は秀でており、皆は彼のことを脱獄王と呼んでいた。彼がフィルムに登場し、おそらく最初期の部類に入る飛行機の空中撮影がシークエンスに入る。素晴らしい試みであった。

Mabel, Fatty and the Law (1915) - うまくまとまる

Roscoe Arbuckle監督 10分程度ながら完成された作品。全員、着こなしが洒落ている。

Max Juggles for Love (1912) - このみ

Max Linder監督 のちの時代に流行るスラップスティック・コメディーの数々よりも、こちらの方が優雅である。私はこちらの方がこのみである。

Bliss (1917) - 普通

Harold Lloyd監督 普通。

The Tantalizing Fly (1919) - 工夫

Max Fleischer監督 創意工夫にあふれた作品。遊び心がある。

Felix in the Swim (1922) - 落ちが面白い

Pat Sullivan制作 落ちが面白い。母親が子供を待ちかまえて棒で殴るシルエットは、泥棒の侵入の様を彷彿とさせる。子供に対してそこまでやるか、というギャップが楽しいのである。

Little Nemo (1911) - なめらか

Winsor McCay制作 アニメーションの動きがなめらかであった。

Jean Cocteau, mensonges et v?rit?s (1997) - 名言の数々

Noel Simsolo監督 今の時代や、あるいは日本にとって彼の言葉は人々の感じる閉塞感を打破するかどうかは定かではない。むしろ閉塞感を感じる現代人をモヤモヤさせるだけであるかもしれないが、兎に角名言のオンパレードである。1時間という尺は適切である。

The Little Soldier (1960) - 普通

Jean-Luc Godard 監督 後にいわゆる政治色を強めることになる彼の、思想的原点が見てとれる。 残念なことに私には基本的に退屈な映画であったが、それはたとえば『中国女』のように主人公たちが政治に当事者意識を持っているわけではないからであり、今回のA…

Shane (1953) - ホルンの遠景

George Stevens 監督 まさに、これぞアメリカ。つまり開拓者精神、ハードボイルドにあふれた作品である。 ホルンの遠景を多く採用することで雄大な空間を演出しているが、見方を変えればストーリーを他の世界から断絶するように囲んでいる山々とも思える。そ…

Frankenstein (1910) - 鏡

Thomas Edison監督 はじめは普通の作品かと思った。劇を正面から撮影する、20世紀初頭の手法を踏襲しているだけだと感じたからだ。しかし、途中から鏡が登場して評価が逆転する。私が、映画において鏡が登場したフィルムの中でおそらく最古である。 鏡は人物…

Dracula 3D (2012) - 3Dなら楽しかろう

Dario Argento監督 個人的に気に入らなかった部分は、ドラキュラ伯爵のカットが多く感じた点である。あまりにも吸血鬼たちがあっけなく殺されるので、少なくともドラキュラ伯爵には超常的な魅力を描写して欲しかったのだが、カットが多すぎたために数ある凡…

Giallo (2009) - 普通

Dario Argento監督 安定したDario Argento監督の作風である。その腕は全く衰えていないが、一方で新境地を開拓している風でもない。良くも悪くも彼の中では普通の映画であった。

Pan's Labyrinth (2006) - 現実と逃避の狭間で。

Guillermo del Toro監督 一般的なダーク・ファンタジーとして考察を終いにするにはあまりに雑である。ファンタジー映画は基本的には裕福というイメージがあり、それは精神的にも経済的にも恵まれた少年・少女が不思議の扉を幸運にも見つけるといったものであ…

Wizard Of Oz (1910) - 再現

監督不明 (Selig Polyscope Company製作) 「The Wonderful Wizard of Oz」の世界観をあらゆる努力でもって再現したことがわかる。好印象な映画であった。本作だけではストーリーが掴みにくい部分もあったが、原作小説は1900年に発行され、おそらく当時の人は…

The Cameraman's Revenge (1912) - どこまでも暴力的に

W?adys?aw Starewicz監督 容易に暴徒化しそうな虫たちのフィルムである。当時のあらゆるスラップ・スティックコメディよりも本作の方が暴力性が強いように見えるのは、登場者が昆虫であるからである。彼らには遠慮や力の加減というものがない。少なくとも人…

団地妻 しのび逢い(1972) - だんだんと心地よく、、?

西村昭五郎監督 今回、開始してから20分ほどくらいは冷めて観ていたのだが、30分を過ぎたあたりからだんだんとノッてきてしまって、「ロマンポルノの魅力」を始めて体感した次第である。もちろん性的な意味でノッたのではないが、団地妻の存在がだんだんと愛…

La Chinoise (1967) -

Jean-Luc Godard監督 今回うまいと感じたのは、イデオロギーを描いているようで描いていない、つまり映画に於いてイデオロギーを描くという過ちを犯すことは避け、あくまでもイデオロギー下に置かれた個人に焦点を当てたまっとうな映画である点だ。もちろん…

My Life to Live (1962) - 人生観のつまった爽やかなテイスト

Jean-Luc Godard監督 10を超える章に分けて、それぞれに置いてストーリーに付かず離れずの独立したテーマを設けている。それぞれは独立しているが、「映画好きの人生」という意味で相互に連関し、違いのテーマの重要性を高めあっているように私は見た。もっ…

Suspicion(1941) - 史上最悪の男

Alfred Hitchcock監督 金使いが常人離れしており、なおかつ嘘をつく男というのは人類の中で極悪の部類に入るに違いない。というのも、金使いの感覚は容易には矯正ができず、むしろその感覚を完全に開き直って周囲をまきこむ図々しさがあるからだ。今回の作品…