a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

The Hangover (2009) - 酔っぱらいと記憶喪失の映画では、有名。

Todd Phillips監督。 監督はエレベータが閉じるショットが好きらしい。後に続く二作品でも使っていた。 アメリカでは文化的に一般であるbachelor partyにまつわる話である。この祭りは、新郎が独身最後の夜を同性と過ごすもので、ストリップ鑑賞が主な内容で…

Last Tango in Paris (1972) - 空間感覚が超人じみていると感じる。秀作。

Bernardo Bertolucci監督。 公開4日で上演禁止になるという映画は、『黄金時代』のブニュエル以来にあまり無いのではないだろうか。本作のBertolucciの空間感覚は、私にとっていつも驚嘆の対象である。Marlon Brandoの今際の言葉は「Our children …」である…

La D?licatesse (2011) - おそらく幻想の話である。

Stéphane Foenkinos監督。 Audrey Tautouののんきな演技は相変わらず。François Damiensも下手。この男優は基本的に私は嫌い。 職場の恋人が会社に在籍していたり、在籍していなかったり、人物の空間占有感覚が不明な映画である。認知機能が基本的に不明であ…

L.A.Confidential (1997) - テーマ音楽が七拍子である。めずらしい。

Curtis Hanson監督。 Kim Basinger、私はこの女優が大好き。私生活では、土地の資産運用で失敗したり、出演キャンセルで訴訟されたりと波乱であるが、とてもよい女優である。なぜなら、男の価値観や人生に対して挑発をすることができる。挑発できる女優は強…

Alice in Wonderland (1903) - ファンタジーに着目した、監督は偉い。

Cecil Milton Hepworth監督。 映画という手法が、ファンタジーの創出に基本的に向いているということを証明した作品であろう。たとえば『Explosion of a Motor Car 』は、一応は現実世界において車が爆発したという体なので、ファンタジーではない。むしろ違…

The Mystic Swing (1900) - 人が消えたら骸骨となる。

Edwin Stanton Porter監督。 人を消す際に煙が無い場合、居なくなる場合と出現する場合は抵抗が少ない。骸骨が出て来るというのがこの時代の、もしくはこの監督の流行りである。人を消す場合には、人が消えること自体は非現実的出来事であるから、何らかの意…

Faust and Marguerite (1900) - カット編集で人を消す事は用意である。

Edwin Stanton Porter監督。 この時期のカット技法では、人や月面星人を消す場合には煙を立たせる。これは割と重要なことで、本作では煙を立たせていない。これは、魔術的な行為が映画世界内で実現されていることを描写する際に、音楽が必要なのかどうかを考…

Explosion of a Motor Car (1900) - カット編集の基礎。

Cecil Milton Hepworth監督。 車が爆発するということのみをストーリーとしているにも関わらず、実際に車を爆発させないという怠惰な作品。非常に低予算的である。 重要なことは、その車に人が乗っていて楽しそうに万歳しているところである。これでは実際に…

滝を見にいく(2014) - 超駄作なように見えて、やっぱり駄作。

沖田修一監督。 せっかく『横道世之介』で評価していたのに、何だかよく分からない作品を撮ってきた。 元々より、人間同士の価値観が折り合わず、なんらかの理解しあえない溝のようなものがあるというのが、本監督の醸していたコメディの原動力となっていた…

横道世之介(2008) - 最近の日本映画も悪くないぞ。

沖田修一監督。 なんというか、こう同世代の監督の中で世界中を見渡したとしても、この監督の技は引けを取ってはいない。 私としては音楽の使い方がどうにも性に合わない監督ではあるのだが、基本的には長いショットを得意にしているようだ。以前、アメリカ…

The Life of an American Fireman(1903) - パン撮影の元祖。

Edwin Stanton Porter監督。 馬車が右上方からのびる道の奥から、手前へと走って来るショットがある。ここで三台目の馬車が手前まで到来したとき、左方向へと緩やかなパン撮影をする。まず、パン撮影をし易いように、道裾にカメラを設置している。もっとも、…

My Sister’s Keeper (2009) - 家族が悪役として働くこと。

Nisk Cassavetes監督。 Abigail Breslinは、白血病末期症状の姉を持つ。彼女は自分の持つブレスレットを質に入れ、700ドルに変える。この費用は家族を訴えるために使用される。 家族が悪役として働く。誰が正義かという、善悪二元論に置かない点が、21世紀の…

Le Concert (2009) - フランス現代映画のたのしい佳作。

Radu Mihaileanu監督。 4 Novは、この記念すべき映画がフランスで公開された日にちである。これはフランス映画祭で観客賞を受賞し、第35回セザール賞の音楽賞と音響賞を獲得している。しかし、音源やオーケストラ描写自体はそこまで特筆すべき点はない。Alek…

Danse Macabre (2014) -ストーリーを錯覚させる音楽。

Pedro Pires監督。 女が首つり自殺をする。遺体は検死される。遺体に水がかけられ洗われる。心臓が運ばれる。死体は泣いている。棺にいれられる。そして焼却される。 硝子の割れる音がする。黒いカラスが舞い降りる。鳩が飛び立つ。椅子が寄せられる。ここま…

たとえば明日も朝が来て (2014) - 役者のルックスはストーリー展開とは独立している。

高良嶺監督。 アマチュアの作品である。 早稲田大学映画研究会の作品なので、まさかこの学生が将来この名前で監督をしているとも考えにくいのであるが。吐血するシーンは、『Stealing Beauty』であれば、一度カットして、口に実際に液体を含ませて吐かせるシ…

The Social Nerwork (2010) - 懐古形式は、各登場人物のストーリー展開を時間内に展開しやすい。

David Fincher監督。 パノラマが夜景となるショットを導入していた。また、ボート競争をするシークエンスにて、音楽の使い方が新しかった。途中から音楽をゆるやかに転調させるのである。これは観客もしくは競技者の形而上音楽であるが、切れ目の無い転調を…

21 and Over (2013) - スローモーションと映画音楽の応用。

Jon Lucas, Scott Moore監督。 アメリカは鷲とバドワイザーの国である。主人公である三人の21歳男の中で、泥酔する人間はJustin Chonである。彼が韓国系米国人である。泥酔する登場人物がアジア系であることが、作品の完成度を上げた。なぜそれが面白いのだ…

Benny and Joon (1993) - Boy meets girlの兄妹版にあたる。

Jeremiah S. Chechik監督。 ジョニー・デップ、変わった役者である。ジョニー・デップではミスキャストなのではないか、と思えるような役ばかり演じて、それが逆に型にはまっているという逆説的な人。つまりはミスキャスティング的な理想の配役とのギャップ…

Populaire (2012) - タイプライターの早撃ち世界大会。

Régis Roinsard監督。 『幸せパズル』ではジグソーパズルの世界大会があって、本作にはタイプライターの早打ちコンテストがある。人間はどんな装置にしても、その早さを競争することが好きである。この事実を知っていたら、新しい映画のシナリオ五十本でも書…

Partner (1968) - ゴダールと張り合っていた時期のベルトルッチ。

Bernardo Bertolucci監督。 60年代といえば、フランスがヌーヴェルバーグ全盛期なので、Godardが『気狂いピエロ』を発表した何年か後の作品。淀川長治が嫌いで、蓮實重彦が好きなGodard。それはそれとして、本作はそのヌーヴェルバーグの雰囲気ととても似て…

The Last Emperor (1987) - これを観なければ、人生を損する。

Bernardo Bertolucci監督。 カーテンや布のすばらしい使用法の手本。画面自身が、映画をみだらに、みだらに、みだらにしていく。Bertolucciはもともと画面内の空間感覚にすぐれていて、空間を明確にみせるスクリーンプレイを実行している。

Coco avant Chanel (2009) - フランスの立身した女性の愛人は、交通事故に会う事になっている。

Anne Fontaine監督。 かつて『エンド・オブ・バイオレンス』で、国家組織に追われる主人公につきそう女は、ハリウッドでは死ぬ事になっているという台詞があった。それはさておき、フランスでは偉人の女性が愛した男性は、交通事故で死ぬようになっているら…

The End of Violence (1997) - ガウンで王国の半分が手に入るという印象。

Wim Wenders監督。 最後にある港の俯瞰シーンの陳腐さ。どうしたらあのような結末で撮影できるのであろうか。

Fun in a Bakery Shop (1902) - パン生地を投げて遊ぶ。

Edwin Stanton Porter監督。 この作品のコピーライトはThomas A. Edisonになっている。彼はMotion Picture Patents Company ;MPPCを形成し、映画製作・配給の厳しい独占を実施しようとした結果、他の映画製作者が逃げてハリウッドが誕生した。Edisonはアメリ…

The Enchanted Drawing (1900) - アニメはマメのような顔の男から始まった。

James Stuart Blackton監督。 アニメではあるが、ストーリーはない。本作のテイストはマジックショーであり、実在している男の動作と、カンバス内の動作は連動している。

Humorous Phases of Funny Faces (1906) - ストーリー=黒板消しである芸術さ。

James Stuart Blackton監督。 マメのような形の顔をした男が黒板にかかれ、その右側に婦人がかかれる。その後、アニメーションの技法によって二人の表情が変化する。男の口からパイプが出現し、パイプから煙が吹き出して行く。

The Haunted House (1908) - 水面を移した初の作品。

Segundo de Chomón監督。 この監督はMélièsのようなフランス人ではなく、スペイン人である。私が強調するのは、Haunted Houseへと行く途中の水面であり、水面に反射する人間を撮影した作品としては、本作が最初ではないかという点である。また、カメラを視線…

Le Voyage dans la Lune(1902) - 月へ向かうクローズアップの使い方が斬新。

Georges Méliès監督。 監督は、dissolveをここで初めて映画に登場させた。月面へと移動し、だんだんと月がクローズアップされていく。この画面は主人公たちの視点であるように見えるが、予想を裏切られてロケットは斜めに月へと刺さる。なんというクローズア…