a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

1990年代 普通 (好みで)

Ju Dou (1990) - 染物

Zhang Yimou、Yang Fengliang監督 染物の色を映像として活かした作品。奴隷のように虐待される女の怨恨が、別の怨恨を産んでいく様を流暢に描写している。

Food (1992) - 飢え

Jan Švankmajer監督 三部構成である。行為としての食事を嫌悪するという主題で、朝食、昼食、夕食をそれぞれ風刺する。飢えのために食事を行うが、その行為によっては飢えが無くならず、いつまでも貪欲であり続ける点に、それを憎悪する理由を見出しているよ…

Before Sunrise (1995) - 印象

Richard Linklater監督 王道の恋愛映画であった。電車で偶然にも隣の席に向かい、数回の会話で意気投合。現実の世界では起こり得ない、無理のある会話運びによって、王道のストーリーが開始されるのである。そして、通常にしては長いショットで、即興ではな…

Rosetta (1999) - 独創的かつ社会派

Jean-Pierre Dardenne,Luc Dardenne監督 極端なクローズアップの状態から、カメラを移動させる。すなわち、画面が揺れることが絶え間なく、常に緊張を強いられるシークエンスだ。テクニックの独創的な良さに加え、いわゆる社会派の役割を果たし、その嗅覚に…

Madame Bovary (1991) - 小説との差

Claude Chabrol監督 小説を読むことで漠然と作り上げてきたエマの像が、良くも悪くも裏切られ、気づくと特別な感動もなく、氷のように溶けてしまったような視聴後感覚。それは、小説の読了後感覚と全く同じで、本当に不思議な小説である。もっとも実際的に迫…

The Thomas Crown Affair (1999) - おしゃれな衣装

John McTiernan監督 おしゃれな衣装、それも主演俳優だけではなく脇役に至るまでトップレベルのおしゃれをしている。Cally Blackmanによれば「最もおしゃれな映画」。そして、残酷ではあるが、映画の出来は決しておしゃれによって決まらないことを示す例にな…

Four Rooms(1995) - Penthouse "The Man from Hollywood" - 独特

Quentin Tarantino監督 撮り方が独創にあふれている。案外『パルプ・フィクション』の翌年に公開された作品で、『パルプ・フィクション』の方が撮りかたがアートにまとまっていた感じもする。が、危険な賭けがまさに開催されようとする中、死刑執行人の役割…

Four Rooms(1995) - Room 309 "The Misbehavers" - その先が知りたい!

Robert Rodriguez監督 躾がなっていない、まだ小さい子供である姉と弟がいて「あんたの足臭いぞ」と罵り合っている。すると、彼らの足が臭いのではなく別の原因があることが判明するので、実はその先の展開が観たかった。オムニバスなので、その原因が判明す…

Four Rooms(1995) -Room 404 "The Wrong Man" - 普通

Alexandre Rockwell監督 ホテルボーイがある客室に入ると、そこに居る男が何やら剣幕を持って女を銃で脅しているありがちな展開である。

Four Rooms(1995) - Honeymoon Suite "The Missing Ingredient" -

Allison Anders監督 今回のオムニバスは、タランティーノ監督が担当した「ハリウッドから来た男」を元に作られている。ホテルのそれぞれの部屋で起こる非日常をいかに楽しく彩るかが、一つの主題であったように思われる。その意味で、魔女の霊祭がLos Angele…

Velvet Goldmine (1998) - 衣装に感動した

Todd Haynes監督 ストーリーは陳腐であり、感動的に構成することに失敗している。しかし、衣装は非常に良い。パンクの衣装を見事に取り揃えてbisexualを表現することに成功した。

Jean Cocteau, mensonges et v?rit?s (1997) - 名言の数々

Noel Simsolo監督 今の時代や、あるいは日本にとって彼の言葉は人々の感じる閉塞感を打破するかどうかは定かではない。むしろ閉塞感を感じる現代人をモヤモヤさせるだけであるかもしれないが、兎に角名言のオンパレードである。1時間という尺は適切である。

Speed (1994) - なかなか

Jan de Bont監督 監督の力量があっぱれである。

STAR WARS EPISODE I: THE PHANTOM MENACE (1999) - 普通に良い

George Lucas 監督 作品全体が丁寧に作られており、主人公の格闘シーンや、地上での戦争シーンがよく練られている。

御法度 (1999) - 美男すぎた

大島渚監督 「美男すぎた」松田龍平のキャスティングは非の打ち所がない。喋りが下手であっても、それすら役者とキャラクターの個性として映画を組み立て観客を納得させてしまう、大島渚の監督技量には惚れ惚れする。最高の監督である。

The Stendhal Syndrome (1996) - 暴力の憑依と継承

Dario Argento 監督 ダリオ・アルジェントは初期作品では男を主人公に据え置いていた。それも彼にメロメロになっている彼女を侍らせているようなモテる男である。それがいつの間にか青年の女が主人公になっていった。それも、彼氏がいるケースもあるが、どこ…

The Lost World: Jurassic Park (1997) - 恐怖の達人2。

Steven Spielberg 監督 トレーラーが崖から突き落とされそうになり、必死でロープにつかまる主人公たち。途中でトレーラーが滑り、つぼ抜きのように彼らの横をすり抜けて落ちていく。もはや恐竜で怖がらせるというよりも別のアドベンチャー的要素にすり変わ…

Jurassic Park (1993) - 恐怖の達人。

Steven Spielberg 監督 必死で恐竜から逃げている最中であるというのに、ブラキオサウルスに目を輝かせている子供たちを観ると非常に違和感を感じる。本来であれば死の予感と孤独感に押しつぶされそうになっているのではないか。そこを現実的に描かないとこ…

Life Is Beautiful (1997) - 前向きに生きる様を観る。

Roberto Benigni監督 ロベルト・ベニーニは『ナイト・オン・ザ・プラネット』でタクシー運転手をしていた人。確か田舎出身で手当たり次第に獣姦している仕様も無い役であった。牛を強姦して、羊を強姦して、弾丸のように喋る人。それが監督としているという…

Fallen Angels (1995) - 群像恋愛劇

Wong Kar-wai監督 『恋する惑星』と同じく群像恋愛劇である。ほとんど同じだから、どちらを観てもよいであろうし、どちらが好きになろうとKar-waiのハンディカムを多用したロマンティシズムを堪能できる。『恋する惑星』でも書いたとおり、たえず人間のリズ…

Back to the Future Part Ⅲ(1990) - 時空を超えた純愛へ。

Robert Zemeckis 監督。 前作の最後から凡庸な西部劇になるのではないかと思ったが、案外おもしろいのである。『駅馬車』の馬の使い方を十二分にオマージュして、Michael J. FoxがClint Eastwoodを名乗る。確かかは分からないが、鏡の前でヒーローを気取るMi…

City of Angels (1998) - ロマンチックな映画を観る。

Brad Silberling 監督 Nicolas Cageは天使の役に向いていると直感できる作品。彼は天使と対面するようなファンタジックな役にも向いている。『ワイルド・アット・ハート』では、彼は天使と一緒に画面に映っていて違和感が無かった。それは役者としては当たり…

The Legend of 1900 (1998) - 美の運動を観る。

Giuseppe Tornatore監督。 目で魅せる映画である。船の揺れと共に床を走るピアノは、美が船の中を縦横無尽に疾走しているイメージを引き起こす。どのシークエンスも美しいので、どうして美しいのだろうと見入ってしまう。その理由はきっと美が運動している様…

うなぎ (1997) - UFOを待ってしまう圧倒的な作品的敗北を観る。

今村昌平監督。 孤独を排し現実を受け入れ、新しい家族と再生すべきだというストーリー。 残念ながら、私は大嫌いである。 物語ラストで刑務所に入る主人公が帰ってくるかどうかを、愛人が気にする場面がある。女は彼のことが好きだったのに、どうして彼をUF…

Black Cat, White Cat (1998) - ユーモアの大切さを観る。

Emir Kustrica as director ある意味では、Kustricaはまったく成長しない監督である。撮り方もモチーフも早いうちに完成し、まったくと言ってよいほど以後の作品に技術的な変更が少ない早熟した監督である。 代わり映えが無いといってもどの作品も面白いので…

The Piano (1993) - 不思議な距離感覚の映画を観る。

Jane Campion as director 建物の位置関係に対して面白い着眼点に気づいた作品。女の主人公が不倫をする話である。夫の家と、不倫先の家はどれだけ離れた距離にあったのだろうか? 本作を観ると、ひとつか多くてもふたつの移動ショットをつなげただけで、こ…

Arizona Dream (1994) - 拳銃自殺の名シーンを観る。

Emir Kusturica監督。 自殺のシーンは見事である。落雷と発砲の同時発生、ピントは手前から奥の木へと移動する。彼女は落雷に驚いて引き金を引いてしまったような素振りもあり、リアリティを感じる。

Wild at Heart (1990) - 力強さを観る。

David Lynch監督。 映画史上でも謎であろう、天使が舞い降りてくるショットがラスト付近にある。この天使によって、唐突にアンハッピーエンドがハッピーエンドへと180度転換される急激な力が映画に加わる。そこから5分たらずのうちに「Love Me Tender」…

Underground (1995) - 画面にほとばしる才能を観る。

Emir Kusturica監督。 カンヌでパルムドールを獲るというのは、ある明瞭な文化的メッセージを強力に描写できる実力を指すと思う。監督の『Arizona Dream』は、実力はあったが文化的メッセージは皆無に等しい。(しかしヴェネチアで銀熊は獲った。)本作は、…

Bitter Moon (1992) - 独善と偽善がばれる瞬間を観る。

Roman Polanski監督。 踊りを入れたシーンが上手い。『フランティック』のときにみせたEmmanuelle Seignerのダンスホールでのダンスは、ホールの小ささとその中でごったがえす人いきれの非日常感を、瑞々しい感性で映像化していた。そのときに私が感じた感動…