a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

In the Dark (2007) - 映画は孤独に観るべし。

Andrei Konchalovsky監督 大きいシアターには、上演はされているけれども観客はほとんど入っていない。受付係の女は映画で泣いたけれども、残りの観客のカップルはセックスしていただけ。暗闇でそれぞれの耽溺するものがまったく違った、悲しいなあ。受付女…

Three Minutes (2007) - 3分で何が描けるか。

Theo Angelopoulos監督 映画における独白の台詞は、3分でぎりぎり収めることができると証明したかのような短編。長ったらしく120分に引き伸ばし、無内容の映画なのに感動作に見せようとする駄作映画よりよほど分かりやすい短編なのである。

One Fine Day (2007)- 孤独な人種、監督。

北野武監督 孤独である、監督は孤独な人種なのだと伝えるような映画。キタノ座は北野武が演じていて、ぼろぼろの古い小さなシアターを一人で管理している。観客も一人しかこない。ネガが燃えても誰も助けてくれない、『ニュー・シネマ・パラダイス』と現実は…

Open-Air Cinema (2007) - 映画は仲睦まじく観るべし 。

Raymond Depardon監督 野外映画のたのしさを観る。映画は孤独の中で鑑賞するものではなく、仲の良い人達や恋人同士と仲睦まじく観るものであると言いたいのである。

へルタースケルター(2012) - 映画の撮り方を知らない。

蜷川実花監督。 全身整形をした沢尻エリカの部屋は、赤を基調にした芸術的ともエキゾチックともいえる空間である。背景には不自然に大きすぎるリップの写真、居間を抜けると彼女の写真が壁にずらっとかかっている。全てが彼女の過去・現在・未来、そして人間…

One A.M.(1916) - Cuckoo clock attacks.

Charlie Chaplin as director めずらしく全編一人芝居である。おとろえることのないパントマイム芸を堪能できる。映画としては余興的な作品だとすれば、劇場が夜11時に閉まって、真夜中1時からひっそりと始まる内輪の芸、というような感じもただよう。階…

The Vagabond (1916) - The living shamrock

Charlie Chaplin監督 ジプシーの作品を観るとフェリーニの『道』が観たくなってしまう。西洋映画にはジプシー映画が沢山あり、本作もジプシーの話。ジプシーの女奴隷がいて、売れない音楽家と恋愛する話である。 チャップリンはミューチュアル社に移って、圧…

Triple Trouble(1918) - 未完の作。

Charlie Chaplin, Leo White監督 Essanay社を退社したチャップリンに変わってLeo Whiteが完成させたというフィルム。途中から別の監督が作品を作ると全体の統一感がなくなるのではないかという危惧が当たる。下手であるよりは上手い技術を持ち合わせているが…

Burlesque on Carmen(1915) - 細やかな人物設定を観る 。

Charlie Chaplin監督 舞台設定と人物設定が多彩になった。前年に『アルコール先生原始時代の巻』で、原始時代の設定で王と下僕たちの設定があった。そのような労働階級のなかでも、本作ではジプシーのカルメンであったり居酒屋のオーナーであったりと細やか…

Shanghaied (1915) - 船酔いする映画を観る。

Charlie Chaplin監督 労働者が、雇用者の娘に恋してしまうというのが、Essanay社時代のチャップリンである。本作は通常のスラップスティック・コメディのように観えるが、格段に従来作よりも進化しているように感じられるのは、野外撮影とセット撮影を分けた…

The Bank(1915) - Only a dream.

Charlie Chaplin監督 Essanay社時代のチャップリンの特徴は恋愛に敗北するところにあるわけだが、本作もその好例である。しかし途中までは非常に上手くことを運んでいたCharlieは、掃除夫であるが強盗を撃退し、エドナ・パーヴィアンスと上手くいくかに思わ…

A Woman(1915) - 天才あらわる。

Charlie Chaplin監督 この女性は誰だろう、と思ったらChaplinなのである。まさか15年にCharlieが白いドレスを着て廊下をランウェイのように自信げに歩いているとは想像できないから、本作には驚かされる。Edna Purvianceが、あなた髭を剃って私の靴をはいた…

Life Is Beautiful (1997) - 前向きに生きる様を観る。

Roberto Benigni監督 ロベルト・ベニーニは『ナイト・オン・ザ・プラネット』でタクシー運転手をしていた人。確か田舎出身で手当たり次第に獣姦している仕様も無い役であった。牛を強姦して、羊を強姦して、弾丸のように喋る人。それが監督としているという…

Work (1915) - 仕事にならない仕事を観る。

Charlie Chaplin as director 部屋を散々に壊しておいて何が仕事か。そう憤って観る作品である。ただし映画史家の中には本作を労働者階級と資本階級の対立として観れば、圧倒的に労働者に同情を向けているようにも観えるという。確かに、前半ではCharlieは馬…

Science Fiction(1959) - まさに

Stan Vanderbeek 監督 まさにフィクション。地球を割ったら、生卵がでてきて目玉焼きが焼かれるような、ナンセンスを題材にしており、米ソ対立を皮肉している。

Fallen Angels (1995) - 群像恋愛劇

Wong Kar-wai監督 『恋する惑星』と同じく群像恋愛劇である。ほとんど同じだから、どちらを観てもよいであろうし、どちらが好きになろうとKar-waiのハンディカムを多用したロマンティシズムを堪能できる。『恋する惑星』でも書いたとおり、たえず人間のリズ…

By the Sea (1915) - 両手に敵

Charlie Chaplin as director Charlieは二人の女に同時にちょかいを出し、それぞれに居た恋仲の男たちとスラップスティック・コメディを繰り広げる。よく考えれば、一人の男が代わる代わる戦うのだから圧倒的にCharlieが不利である。そして両手に花ならぬ、…

Back to the Future Part Ⅲ(1990) - 時空を超えた純愛へ。

Robert Zemeckis 監督。 前作の最後から凡庸な西部劇になるのではないかと思ったが、案外おもしろいのである。『駅馬車』の馬の使い方を十二分にオマージュして、Michael J. FoxがClint Eastwoodを名乗る。確かかは分からないが、鏡の前でヒーローを気取るMi…

The Tramp (1915) - 放浪者らしく。

Charlie Chaplin as director 駆落ちもあれば失恋もあるということで、本作は後半手前まで普通のコメディであり後半は失恋を描いている。確かにChaplinの独特な魅力はこの作品から本領発揮されたという観方があり、それは正しいだろう。今までの主人公は身を…

A Jitney Elopement(1915) - カーチェイスを観る。

Charlie Chaplin as director keaston時代のスラップスティック・コメディと何ら変わらないと憤って観ていると、物語後半にはカーチェイスがあるのだ。しかも緊迫感のある演出がされている。粗いカーチェイスであって決して滑らかではないけれど、主人公男が…

Back to the Future Part II(1989) - 負け続けるTannen家を観る。

Robert Zemeckis 監督。 構想が非常におもしろい。現在を85年とすると、未来のスケーターを使って、スポーツ年鑑を取り戻す過去の場面で役立てるのである。こういう映画は公開したもの勝ちである。タイムトラベルものの映画は作られるけれど、タイムパラドッ…

The Champion (1915) - 犬が乱入して一番盛り上がる拳闘会場。

Charlie Chaplin as director どうしてビールを飲みながらトレーニングするのだろう。殴られたら殴り返す、それがスラップスティック・コメディである。殴る、殴り返す、Chaplinは下にかがんで拳から逃げることができる。だから彼は強いと思いきや、敵も打撃…

Pauline at the Beach (1983) - ポーリーヌのかけがえのない夏を観る。

Eric Rohmer 監督 フランスの雰囲気を感じたければ、この一本を観れば足りる。雰囲気というのはひと夏の自由な恋愛感情に他ならないが、一方で言葉の節々に哲学を、個人主義的思想も感じるだろう。日本は西欧思想を取り込んだ際にも、個人主義はどうしても取…

City of Angels (1998) - ロマンチックな映画を観る。

Brad Silberling 監督 Nicolas Cageは天使の役に向いていると直感できる作品。彼は天使と対面するようなファンタジックな役にも向いている。『ワイルド・アット・ハート』では、彼は天使と一緒に画面に映っていて違和感が無かった。それは役者としては当たり…

It's a Wonderful Life(1946) - 素晴らしい妻を観る。

Frank Capra 監督。 James Stewartは、硬派だけれども町人から信頼が高い、仕事の出来る人だ。美人の奥さんがいて子供も4人できた。それでもふとしたミスで破産しかけてしまう。もう自分はおしまいだ、自分の保険金で家族を助けて自殺しようとする。そこに…

Cinema Paradiso (1988) - 映画への愛のいじらしさ

GIuseppe Tornatore as director 映画の愛に包まれた作品である。監督の映画への愛が非常によく伝わる。『ミツバチにささやき』でも『SUPER 8』でも、監督の映画への愛は、登場人物の子供が抱く映画への愛として示される。いかにそれが純愛であるかを、子供…

M*A*S*H (1970) - スピーカーの魔法を観る。

Robert Altman 監督 これは朝鮮戦争の戦線近くの米軍の野戦病院の話である。しかし、冒頭のテロップと多少のシークエンスを除けば、まったく朝鮮戦争には見えない。むしろこれはベトナム戦争のように見える。 監督はこの点に対して、米国人に忘れられかけて…

The Trouble with Harry (1955) - 村人談合。

Alfred Hitchcock as director Hitchcockの特色としては、我々から観たらめずらしい。なんとサスペンスの要素がほとんど無い。彼らしいサスペンスという意味で言えば、それは皆無である。 この訳の分からぬ作品は、舞台喜劇でも見ているようなキャメラで進行…

The Dangerous Thread of Things (2004) - 大自然、もしくは性。

Michelangelo Antonioni 監督。 マセラティのオープンカーに乗って、金がある男だなあと思って観るわけだ。 イタリア人の美の観念というのは、やはり他と隔絶している。日本人は、フランスの美は多少ピンと来るし、その意味で西欧の美的感覚には直感的に応対…

Equilibrium(2004) - 私の嫌いな部類の作品。

Steven Sodervergh監督。 ナンセンスを基調として、均衡であるようで不均衡な作品を作ってくれた。単純なようで複雑な作りにされている映画には、私は観ていてイライラする。それは、一度観て理解できない部分があるので二度観しなければならないからである…