Steven Sodervergh監督。
ナンセンスを基調として、均衡であるようで不均衡な作品を作ってくれた。単純なようで複雑な作りにされている映画には、私は観ていてイライラする。それは、一度観て理解できない部分があるので二度観しなければならないからである。本来、作品が美しいと思うからこそ二度観という行為があるのだという立場から、一度観ただけで理解しにくい複雑な作品は好きではない。しかも、撮り方は非常に上手いので、なおのこと何故か腹立たしい。精神科医の飛ばした紙飛行機になんらかに意味があるのだろうと期待したら、私にとってはただのナンセンスの装置にしか観得なかった。これはシュールレアリストよりもたちが悪い。結局、21世紀にもなり我々観客はカラーの世界こそ現実だと捉えがちであるが、現世がモノクロの50年代であり、断片的なカラーのシークエンスがすべて夢であったという話である。下らない。
複数の解釈が存在するだろう映画で、そう枝分かれするように巧妙に作っていることはわかるが、意味のわかりにくいように作る作品は嫌い。
はじめ、『アイズ・ワイド・シャット』のような展開を垣間見たように思う。誰かよくわからぬ異性の夢を見て、その夢を告白したが故に夫婦関係に信頼性が無くなる。しかし、その悩みをカウンセリングする精神科医は、彼をソファーに眠らせて、謎のナンセンス劇がはじまっていく。