a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

Citizen Kane(1941) - 愛情を欲するのみ

Orson Welles監督 後に別監督が『オール・ザ・キングスメン』を公開し、立身を目論む知事の立候補者をテーマにしたが、それに似た前編を持つ。後編は、恋愛の破綻である。本作はこの意味で二部構成であった。全体を通して、愛情を欲し、しかし他人に決して愛…

The Yellow Rolls-Royce (1964) - 時代性

Anthony Asquith監督 ストーリーに面白さはなく、むしろ、映画の媒体を通して60年代の世界観を観る。ロールスロイスは、真っ先に『ゴールドフィンガー』を思い出すわけで、よろしくない仕事をして稼いだ人の車、という印象もある。そこで、本作はオムニバス…

La riffa (1962) - 群衆

Vittorio De Sica監督 主人公を乗せてジャンプしながら走っていく車を、群衆が追いかけていく。それも、楽しそうに追いかけていくのに趣がある。「Boccaccio '70」に収録されている。

Il lavoro (1962) - 部屋の豪華さ

Luchino Visconti監督 豪華で、広い、Visconti監督らしい部屋を堪能できる。「Boccaccio '70」に収録されている。

Le tentazioni del dottor Antonio (1962) - ミス映画

Federico Fellini監督 Fellini監督がミスしてしまった映画、少なくとも話が抽象的に拡散してしまい、同じくAnita Ekbergが出演した『甘い生活』がより具体的で耽美的であった作品だ。技術として、遠近法による女巨人を作り出し、ミニチュアを駆使し、必見の…

Renzo e Luciana (1962) - ある新米夫婦の実像

Mario Monicelli監督 ある新米夫婦の実像を描き、労働者階級の管理職階級に比べてつらいところ、新米夫婦が家族から嫌味を言われてつらいところ、少なくとも60年代のポピュリズムを目指したのであった。彼女が、バスに乗って街に溶け込んでいくラストシーン…

Dawn of the Dead (2004) - 希望的

Zack Snyder監督 ゾンビ映画は、いずれ感染して、しまいにはゾンビになる人間を殺戮する一面がある。ということは、一般的には、ゾンビになりたくないと苦しむ人間性を捨象し、彼らを銃殺する人間疎外がある。本作は、ゾンビとなりかける妊婦妻といずれ生ま…

La Dolce Vita (1960) - 断片、糊

Federico Fellini監督 セレブに群がるパパラッチと、乱痴気騒ぎが描かれる。これを断片とする。次第に、これら断片が提示されていき、しまいに現れるのは腐ったマンタと絶世の美貌を持つ少女である。少女は、乱痴気騒ぎを起こしてついに疲れ切った大人たちを…

Toby Dammit (1968) - フェラーリ疾走

Federico Fellini監督 『世にも奇妙な物語』に収録されている。 いくつかの点で楽しい作品だった。『8 1/2』は映画監督の苦悩を描く、いわば私小説風の作品構造を取ったが、それから数年後に公開された本作は、役者の苦悩を描くということ。フェラーリが疾走…

William Wilson (1968) - 普通

Louis Malle監督 『世にも奇妙な物語』に収録されている。 『死刑台のエレベーター』でルイ・マルが好きになったのであるが、なぜか本作は好きになれなかった。監督の腕が落ちたのではなく、役者が悪いわけでもなく、時代性が現代とマッチしないわけでもなく…

Metzengerstein (1968) - おしゃれ映画

Roger Vadim監督 『世にも奇妙な物語』に収録されている。 Jane Fondaがおしゃれで、衣装の装飾的美性にこだわった作品。それにこだわりすぎるあまり、中世の特権階級の服装を超えた現代のファッション性が出て、リアリズムをダメにした。おしゃれすぎるのも…

Anticipation (1967) - 『アルファヴィル』から『中国女』へ。

Jean-Luc Godard監督 『愛すべき女・女たち』に収録される六番目の作品。以前公開された『アルファヴィル』の手法を用いて、のちの『中国女』以降に続く政治色が反映された内容である。この政治色によって、他の5つのオムニバス収録作品とは一線を画している…

Paris Today (1967) - 娼婦救急車

Claude Autant-Lara監督 『愛すべき女・女たち』に収録されている五番目の作品。薬品棚にウイスキーを陳列し、街を歩く医師を誘惑し、娼婦の救急車が走っていく様が面白い。

The Gay Nineties (1967) - 映像と音楽の融和

Michael Pfleghar監督 『愛すべき女・女たち』に収録されている四番目の作品。音楽に合わせるために映像が所々に小停止し、音楽に映像が随伴するコンセプトで、音楽と映像の融和が楽しめる。短編であるところを、ストーリー全体を丁寧に描いている。

Mademoiselle Mimi (1967) - ジャンヌ・モロー

Phillipe de Broca監督 『愛すべき女・女たち』に収録されている三番目の作品。ジャンヌ・モローといったらまず『マドモアゼル』が思い浮かぶ。本作はそれが軽妙な、街の短編ドラマに仕立てられた印象もある。

Roman Nights (1967) - 古典的

Mauro Bolognini監督 『愛すべき女・女たち』に収録されている二番目の作品。オムニバスの英題は「The Oldest Profession」、これは娼婦を指すのであるが、本作では将軍の妻が娼婦だったという軽妙なオチである。王道的という意味でも、軽快である。

Prehistoric Era (1967) - 衣装が安っぽい

Franco Indovina監督 『愛すべき女・女たち』に収録されている一番目の作品。全体を通して音楽が映像に軽妙さを加え、内容も軽い。古典的で、観客も軽い気持ちで観ることができる。衣装やセットが安っぽく、難点である。

Carnage (2011) - 修羅場

Roman Polanski監督 なかなか映画的に面白い試みで、内容はスリリングであった。もちろん、現実に本作のような状況は発生しないのであって、仲が悪くなればさっさと帰る筈である。そこを、大人4人をあえて帰らせないように、言葉で侮辱したり、酒を持ち出し…

Love (2015) - アダルトビデオと垣根

Gaspar Noé監督 しばしば、アダルトビデオと映画のセクシーなシークエンスの境界線の存在について悩んでいた私は、ついに、本作によってその垣根が完全に解消されてしまったという意味で、センセーショナルな映画であった。もちろん、アダルトビデオと本作は…

パプリカ(2006) - ただただ音楽が良い。

今敏監督 平沢進の音楽が素晴らしい。これにはまるか否かは、本作視聴後の満足度を大きく変えるだろう。作画には、そこまで良さを感じなかった私は、なおのこと音楽と世界観の一致に魅せられた。映画は、小説とは異なって、描写とは独立した芸術様式である音…

You Only Live Twice (1967) - スケールが大きい

Lewis Gilbert監督 SFが進歩的で面白い。今回の作品は火山がある国であればどこでも良かったように感じるが、それでも舞台が日本であるのは光栄なことだ。

Madame Bovary (1991) - 小説との差

Claude Chabrol監督 小説を読むことで漠然と作り上げてきたエマの像が、良くも悪くも裏切られ、気づくと特別な感動もなく、氷のように溶けてしまったような視聴後感覚。それは、小説の読了後感覚と全く同じで、本当に不思議な小説である。もっとも実際的に迫…

ユメ十夜 - 第十夜 (2007) - 普通

山口 雄大監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その十作目である。 多分原作のやりたかった方向性と、全く違った方向性になった。普通の作品である。 ところで、私は本上まなみの写真集を持っていて、外見が好きな女優トップ3に入っていた。それが、…

ユメ十夜 - 第九夜 (2007) - 普通

西川美和監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その九作目である。 普通である。原作特有の、ナンセンスなストーリーが、反戦という意味深い主題を付加されて、実写化されている。現代邦画の実写化において、反戦、家族愛、友情、何らかの主題を与え…

ユメ十夜 - 第八夜 (2007) - 普通

山下 敦弘監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その八作目である。 普通である。

ユメ十夜 - 第七夜 (2007) - うまい

天野喜孝、河原真明監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その七作目である。 オムニバスの中で唯一のアニメーションにして、最も私の中にある漱石像に近づいた作品。ということは、夏目漱石の「夢十夜」とは実写できる代物ではなく、アニメーション…

ユメ十夜 - 第六夜 (2007) - うまい

松尾スズキ監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その六作目である。 原作のモチーフを、ことごとく現代のモチーフに入れ替え、白黒映画とすることで古典らしさを演出、しかも原作の意図を間違えず再現している。良作である。

ユメ十夜 - 第五夜 (2007) - 普通

豊島 圭介監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その五作目である。 原作と全然関係がないが、精神が荒んだ夫と子供の様子は、キューブリックの『シャイニング』を思い出させた。(子供が、母親に向かって「REDRUM」を叫ぶ) もはや、作品は漱石の面影…

ユメ十夜 - 第四夜 (2007) - 普通

清水厚監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その四作目である。 普通。原作は夢を主題にしており、無気力的であり、社会のためにならず、崇高な主題を入れていない。しかし、本作はあえて反戦の主題を入れた。映画のストーリーには「意味」を与えな…

ユメ十夜 - 第三夜 (2007) - 普通

清水 崇監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その三作目である。 普通。幼児の顔は、あえて見せないという選択もあったのではないか。然るに、今回の作品は怪獣ショーのようである。(ちなみに第五夜の監督も、怪獣ショーのように演出した)