a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

1940年代 普通 (好みで)

Citizen Kane(1941) - 愛情を欲するのみ

Orson Welles監督 後に別監督が『オール・ザ・キングスメン』を公開し、立身を目論む知事の立候補者をテーマにしたが、それに似た前編を持つ。後編は、恋愛の破綻である。本作はこの意味で二部構成であった。全体を通して、愛情を欲し、しかし他人に決して愛…

Rebecca (1940) - 妖艶

Alfred Hitchock監督 ストーリーの主軸におかれるのは、レベッカという魔女のような人格のように描かれる故人の解明であり、その趣旨からして今回 の作品は妖艶なものになった。それを引き立てるのは、終始おどおどした、虫一匹ころすことができないような人…

Suspicion(1941) - 史上最悪の男

Alfred Hitchcock監督 金使いが常人離れしており、なおかつ嘘をつく男というのは人類の中で極悪の部類に入るに違いない。というのも、金使いの感覚は容易には矯正ができず、むしろその感覚を完全に開き直って周囲をまきこむ図々しさがあるからだ。今回の作品…

そよかぜ(1945) - 日本人が知っておくべき映画

佐々木康監督 隙間風の吹く映画のようでもあり、邦画の歴史資料として貴重な作品でもある。細かいところではパンの粗さが目立ち、全体的な脚本も練られていないようでもある。平民がスター歌手になるという急に倒立したような話である。しかし「リンゴの唄」…

It's a Wonderful Life(1946) - 素晴らしい妻を観る。

Frank Capra 監督。 James Stewartは、硬派だけれども町人から信頼が高い、仕事の出来る人だ。美人の奥さんがいて子供も4人できた。それでもふとしたミスで破産しかけてしまう。もう自分はおしまいだ、自分の保険金で家族を助けて自殺しようとする。そこに…

For Whom the Bell Tolls(1943) - 綺麗な映画を観る。

Sam Wood監督。 本作には、愛を形成するために言葉があまり必要とされない。二人が会うことに よって、その出来事がすなわち愛になる。しかし二人が別れてもその愛は消える ことはない。少なくともストーリーが続いている間は、二人の愛は永遠となり、 そし…

お嬢さん乾杯 ! (1949) - 純粋な傑作を観る。

木下恵介監督。 率直な感想として「うまいなぁ」とつぶやいてしまった作品。当時は古典音楽の教養が上流社会のステータスであったのかもしれないが、映画で古典音楽を違和感なく取り入れ、それがストーリーに欠かせない要素となった好例である。音楽が表現す…

晩春 (1949) - 嫁入り前に自分の我侭を知る心のうつくしさ。

小津安二郎監督。 後の『東京物語』と同じキャストが多い。原節子や笠智衆など。監督も指摘するように、原節子は演技が凄く巧い。比べても仕様がないが、どの時代のどの女優よりも、原節子が一番巧い。どういうところが巧いのかというと、変な話、もっともわ…

元禄忠臣蔵 後編 (1942) - 壮大なストーリー、後編。

溝口健二監督。 溝口監督の大作、後編である。真山青果作「元禄忠臣蔵」を映画化したものである。 特に、女が男装をして男に会いに行くシークエンスが秀逸である。

元禄忠臣蔵 前編 (1941) - 壮大なストーリー、前編。

溝口健二監督。 真山青果作「元禄忠臣蔵」を映画化したものである。 冒頭、遠景の座敷でストーリーが進行するのかと思いきや、カメラが横にふれて近景で殿中刃傷が起こる。その後にも良質なショットが多く、観ていて非常に綺麗である。 一つのショットが長い…

The Third Man (1949) - 豪腕の軽妙なサスペンス

Carol Reed監督。 冒頭からはじまる音楽(恵比寿ビールのテーマ)のオープニングクレジットと、ラストの長まわしはもう歴史的に有名といって良い。サスペンスとして出来上がっている映画を、盛大にふられさせることで一気にコミックに仕立てて幕引きという制作…