a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

The Third Man (1949) - 豪腕の軽妙なサスペンス

Carol Reed監督。 冒頭からはじまる音楽(恵比寿ビールのテーマ)のオープニングクレジットと、ラストの長まわしはもう歴史的に有名といって良い。サスペンスとして出来上がっている映画を、盛大にふられさせることで一気にコミックに仕立てて幕引きという制作者の豪腕に天性を感じずにはいられない名作。
作品中、終始テーマ曲がながれているので、サスペンスなのに重苦しさが一切ない。ここで、かのテーマ曲が一切ながれていなかったら、本作はどれほど滑稽なだけででかつ中身のない作品になっただろうか。映画音楽の重要性を知れる作品だ。その一点にこの映画の肝が集約される。
役者や脚本を貶しているのではなくて、音楽と表裏一体でまとめあげた手腕を、逆に賞賛したい。
モノクロ映画の特徴として、カラー映画ではすっかり存在地位をうしなった影が強調される。"Casablanca"のように、影を強調したカット(それもわりと実験的な意図が見え隠れしてたりする)も多い。