a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

His Prehistoric Past (1914) - 夢オチというモチーフを観る。

Charles Chaplin監督。 映画世界の中が、ある登場人物の夢の中であるというモチーフの作品。これをdream sequenceと呼ぶ人も居る。 主人公が原始時代にいる夢と、夢ではない現実世界のシークエンスが交差する。この場合、Chaplinのトレードマークである帽子…

A Film Johnnie (1914) - 撮影所の風景を観る。

George Nichols監督。 当時の撮影所風景がわかる作品。撮影所に忍び込んだChaplinは、そこで騒動を起こす。撮影所で、フィルムの最後で使う予定であった建物から火が出て、そこにChaplinがかけつけるも、なぜか張り倒しあいの殴り合いになる。そして彼はホー…

Mabel's Strange Predicament (1914) - 奇妙な出来事の元祖を観る。

Henry Lehrman監督。 「Strange」という題名を冠する映画は数多くある。『Dr.Strangelove or : How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb』もその一つである。奇妙な現象は、平和な世界に突然と降ってきて、ストーリーの雨を降らせるように振舞う。…

The Rounders (1914) - 沈む舟を観る。

Charles Chaplin監督。 酔っ払って、梯子酒をして、結局殴っては蹴っての繰り返しになる。 しかし、最近のハリウッド映画の典型とは異なり、男と女の役割にかなりの均一性があるのではないかと観ていて思う。つまり、男も女を蹴るし、女も男を殴るしと言った…

Laughing Gas (1914) - 殴る蹴るを観る。

Charles Chaplin監督。 Keystone時代のChaplinの作品。ArbuckleやKeatonの出演作をいくつか観てから、同時期のChaplinを観ると、殴ったり蹴ったりなどの比率がとても高く、野蛮な様相にみえる。

A man from London (2007) - ゆっくりと変化する精密時計のような画面を観る。

Tarr Bela監督。 はじめに、波打ち際の画面が現れる。それが、歩くよりもゆっくりとした速度で、次第に上へティルトしていくにつれて、その被写体が船であることが判明する。しかし、そこで画面はカットされることはなく、右へと、これまた歩くような速度で…

The Turin Horse (2011) - 環境を巻き込んで撮るという芸当。

Tarr Bela監督。 移動する被写体を、シームレスな映像として延々と撮影する。それがTarr Belaの映画の「文法」である。この監督の映画を一度真剣に観てしまうと、たいていの映画の撮影が非常に「稚拙な文法」に思えてきてしまう。そもそも、映像とは無限の静…

A Simple Plan (1998) - 崩れ行く犯罪を観る。

Sam Raimi監督。 雪の山奥で、偶然にも大金を見つけてしまい(額数億円)、警察に隠してその金を盗んだことで起こった悲劇を描く。ハリウッドにある典型的なストーリーと、典型的なカメラワーク、そして典型的な映画音楽をもっていて、想像の域を超えない映…

Mercury Rising (1998) - 子役の演技が劇的に上手い映画を観る。

Harold Becker監督。 子役のMiko Hughes、彼は自閉症の子供を演じている。この演技があまりにも上手いので、上映後、映画を観た観客が「どうやって自閉症の子に演技をさせることができたのか」と質問が来たそうである。ちなみに、この観客は自閉症の子供を持…

The Crippled Masters (1979) - 片輪の主人公を観る。

Joe Law監督。 常識に囚われないという意味で、本作はあらゆる映画の上を行っている。主人公は、冒頭で前触れもなしに両腕を切り落とされ、半死半生で街をさまよう。ここで、この俳優が本当に両腕が無いのか私はいまだに不思議なのだが、どうも本当に両腕が…

Kin-dza-dza! (1986) - 映画音楽が大成功した例を観る。

Georgiy Daneliya監督。 ロシアやソビエトのSF惑星映画やそのストーリーは、とても面白い。もしかしたら、ナンセンス劇が好きな国民なのかもしれない。 本作は、マッチが通貨になっている、ナンセンス劇度合いの強い映画である。そして、映画音楽が大成功し…

Leon (1994) - 豪華な俳優陣を観る。

Luc Besson監督。 Gary Oldman, Nathalie Portman, Jean Reno、いずれもが役にはまっているという豊かな映画。非常に恵まれているキャストである。 本作の悪役、Beethoven好きなのであるが、このクラシック作曲家はときどき悪役の代名詞として登場する。『時…

Lolita (1962) - カメラワークのよい、静かな作品を観る。

Stanley Kubrick監督。 ストーリーがそこに在るにも関わらず、それが観ていてはらはらする面白いものになるかどうかは、一部には映画音楽に何が使われているかに拠るかもしれない。本作は、そこまでドラマティックな音楽を使用していない。本来、年が何世代…

Dr. Strangelove or : How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb (1964) - 衝撃の最高傑作を観る。

Stanley Kubrick監督。 映画音楽の選択が良い、取り扱うテーマも良い、ストーリーが複対称軸で同時進行する、全体が明るい雰囲気の中で悲劇性を残すことに成功している、など数々の光るものを持つKubrickの最高傑作である。

The Killing (1956) - 最後のワンショットの怖さを観る。

Stanley Kubrick監督。 最初から最後までおもしろいストーリーで、画面も観客を飽きさせない。本作もそうであるが、映画のほとんどは例外なく悲劇で構成されるので、最後には強盗は警察につかまるか、もしくは死ぬのである。本作は警察に捕まることになるが…

Cops (1922) - Keatonの跳躍を観る。

Buster Keaton, Eddie Cline監督。 人の身長の何倍もあるような梯子を、シーソーのように動かしながらKeatonが移動する曲芸が観れる。それだけでも圧巻であるが、最後にはシーソーの動きがふりきれてKeatonが力学的にはありえない位置まで飛んでいってしまう…

The Playhouse (1921) - 大量の水が部屋からあふれる元祖を観る。

Buster Keaton, Eddie Cline監督。 大量の水が、部屋の奥から手前に噴出していく。このモチーフはKubrickの『シャイニング』にも在るが、本作がそのアイディアで言えば元祖になるだろう。

Balloonatic (1923) - 滝から落ちるアドベンチャーの元祖を観る。

Buster Keaton, Eddie Cline監督。 滝のショットに、暗示的効果が認められる。 渓流下りの際に滝から落ちるというシナリオが有名であるが、本作はその「上」を行くものである。

Hard Luck (1921) - 釣りを映画で観る。

Buster Keaton, Eddie Cline監督。 Hard Luckを題材にした小品集の様相となっている。私が知る限り、釣竿をつかって魚を捕るシーンがある始めての映画である。

The High Sign (1921) - 巨視的な映像を観る。

Buster Keaton, Eddie Cline監督。 映画とは、かなり概略化して言えば人物の移動によって成り立つ。本作は、今までの映画と異なり、一階と二階の連続する四部屋を巨視的に同時に撮影した。つまり、カメラをカットしたり動かすことなく、人物の移動を撮影した…

時をかける少女 (1983) - 映像美の独特さを観る。

大林宣彦監督。 出演している多くの俳優たちは、今で言う「棒読み」である。波がやってきて、その波に飲まれるという形でタイムトラベルが可能となる。その映像は今の私には特殊と片付けてしまうほかがなく、非常に残念ではあるが、非常に見ごたえのあるもの…

The Sweetest Thing (2002) - 恋愛の王道を観る。

Roger Kumble監督。 これぞ恋愛ストーリーの王道である。

The fireman (1916) - ナンセンスの典型を観る。

CHarles Chaplin監督。 コメディの典型であるナンセンスを利用した作品。

さよなら歌舞伎町 (2014) - 染谷将太という説話を観る。

廣木隆一監督。 確かに歌舞伎町には韓国から来て仕事をしている人が多いという着眼点は良いが、映画世界の中でいきなり韓国語でのシークエンスを続けてきて驚く。複数の独立したストーリーが、ひとつのストーリーとして収斂するような作品ではない。それぞれ…

娚の一生 (2015) - セックスシーンのない、普通の邦画を観る。

廣木隆一監督。 画面を観るかぎり、独創的で目を覚まさせるようなscreen playがなかったことは残念であった。 もしアメリカ映画であればセックスシーンがあるべきような、典型的なラブストーリーである。本作はそのようなシーンがない。

Battling Butler (1926) - 遊戯くずしのコメディを観る。

Buster Keaton監督。 ナンセンス喜劇の巨匠ともいえるBuster Keatonの作品。Boxingをしている筈であるのに、どこか遊戯くずしをしている様子に見える。相手は打っても打っても、Keatonは倒れない。Keatonの方はというと、攻撃をまったく繰り出さないのである…

Monster (2003) - 典型的な悲劇を観る。

Patty Jenkins監督。 作中のはじめからおわりまで、顔立ちがCharlize Theronだと思えなかった。メイク技術が大した水準になっている。 ストーリーは、終焉が来ることがあらかじめ予感されるような、典型的な悲劇である。主人公は連続殺人犯になるが、その殺…

サマーウォーズ (2009) - 現代風刺をアニメーションで観る。

細田守監督。 本作は、現代を少なくとも風刺している作品である。脆弱なネットワーク技術、家族関係の希薄化、これらを上手く風刺している。しかし一方では、アメリカアクション映画に似たようなアクションのアングルも存在する。アメリカ映画と日本のアニメ…

La Sirene Rouge (2002) - フランスならではの色彩を観る。

Olivier Megaton監督。 監督はまだ若いので(本記事執筆時点で49歳)、まだまだ良作を撮れる余地があるだろう。というのも、映画における色彩の使い方に独特のものがあり、しかもセンスがあるように感じるのである。このセンスをフランスならではであると断言…

Single White Female (1992) - 背景にある絵画が印象的な映画。

Barbet Schroeder監督。 異常な性格を発揮していく女のストーリーである。自らのすべてをコピーされる、という恐怖を伝えてくる映画は希少である。また、結局のところ彼女がどのような病気であったのか、何に追い詰められていたのかが微妙に不明である映画で…