Barbet Schroeder監督。
異常な性格を発揮していく女のストーリーである。自らのすべてをコピーされる、という恐怖を伝えてくる映画は希少である。また、結局のところ彼女がどのような病気であったのか、何に追い詰められていたのかが微妙に不明である映画である。もっとも、何に追い詰められたのか、作中には丁寧な解説が入れられているのだが、それも時代柄である。1990年付近の映画は、丁寧に物語を総括するナレーションを、終幕付近で入れる流行があったように思う。たとえば『シェルタリング・スカイ』がそれである。
部屋の一番奥に抽象絵画が置かれているショットがいくつかあった。これは画面の奥行きを演出するものであるが、同時に監督の好みを反映するものでもあると思われる。