2016-12-01から1ヶ月間の記事一覧
William Wyler監督 脚本のお手本として、誰もが羨むような完成度を持っている。まず始まる王女という貴族体制のデカダンスに、記者という資本主義の野心が次々と混じりあう。無邪気という潤滑油で二人の勢いが加速し、王道の恋愛映画に発展する。そもそも、…
Jan Švankmajer監督 迷路を解こうとすると、黒猫が音もなくやってきて無残に破壊してくる。閉塞的な主題を堪能できる。迷路によって囚われ、要素が緩徐に連結されていく様が上手であるため、全体を通して統一感がある。 (終いには、黒猫はクローゼットの中…
Jan Švankmajer監督 脱出しようとする、全ての努力をナンセンスに帰すような壁である。この壁という存在は、映画や小説においてよく主題になったものであるが、最近では見かけなくなりつつある。科学技術が向上し、経済の自由度が増し、不可能という主題が減…
Run Wrake監督 ハエを宝石に変えるidolが登場し、ジャムを与えるとどんどん宝石のイミテーションを作ってくれる。このストーリーに目新しさはなかった。新しいのは、登場する存在の上に「idol」とか「rabbit」とか、標識することである。
Rofusz Ferenc監督 最近観たJan Švankmajerの『Et Cetera』で、調教師が犬を鞭打つうちに、次第に犬になってしまう様を思い出した。そして、その作品では犬になった元人間は、鞭で調教されることによって、ふたたび人間へと戻るのだった。本作で示されるのは…
Rofusz Ferenc監督 監督のこれまでの作品の要素が絡んでいる。作品とは、過去の作品群の要素を取り込みつつ、常に未来に向けて前進する集合体であるということが本作からわかる。本作では、人生の流れが10分でわかる。それだけではなく、土の中に埋められ…
Rofusz Ferenc監督 人間の愛情を信じ、反戦を説く。肝心なところをあえて描写せず、敵兵に捕まる瞬間、爆撃の瞬間、これらを省くことで、帰って色彩の世界へと入って行きやすい。故に、その性善なる世界が壊れたとき、そのショックに驚く。うまい手法である。…
Rofusz Ferenc監督 死の寸前、ハエが見えたということである。果たして面白い作品だろうか。
Ferenc Rofusz監督 単なる私の想像である。重力を発見したくて仕方がない学者のリンゴが、重力で落ちたくて仕方がない。せっかく落ちると、その証明が終わる間も無く、身体が粉々となる。学者人生の悲哀というものだろうか。 (なかなかの表情描写が堪能でき…
Jan Švankmajer監督 三部構成。それぞれに脈絡が無いようで、有るような、独特の世界観を提示する。二部では、調教する人間に対して、犬がだんだんと調教されながら人間に成るという、おそろしい価値観が堪能できる。 (狂気を感じるが、、、)
Rofusz Ferenc監督 ハエたたきの音が、これほど恐怖に感じるアニメはない。きっと観客は完全にハエに同化してしまう、完璧なアニメーションが披露される。 (静止画で切り取ると、情景がよくわからない。ハエの世界とは、常に動的で、一瞬の静止もないのかも…
Michael Dudok de Wit監督 待ち続ける少女と、決して帰ってこない父。彼らの心の距離と現実のそれが隔たるから、センチメンタルが発生し、得てしてアコーディオンの音楽がそこを引き立てる。決して、本作の独創性ではなく、すでに確立した手法だ。本作は、そ…
Charlie Chaplin監督 映画ジャンルの様々の手法を網羅している。それはコメディの手法として勿論のことである。恋愛が発生するまでを丁寧、ロジカルに描写したシークエンスがある。最後の演説は有名すぎる程であるが、群衆が反応したショットを入れることで…
Edgr Wright監督 撮り方が上手。前半1/3がすぎると、突然エイリアンの話になる。このエイリアンには緊張感がなく、おおよそ殺人とは程遠いほどの善良さすら見せており、従来のエイリアン概念を覆す。
Richard Linklater監督 『恋人までの距離』に比べると失速してしまう恋愛映画。持ち味であった長いショットが、切り返しショットにより無残にも切り刻まれた点が残念である。脚本は、女は喋りすぎ、男は喋らなさすぎ。ただし、これらの欠点があっても、冗長…
Richard Linklater監督 王道の恋愛映画であった。電車で偶然にも隣の席に向かい、数回の会話で意気投合。現実の世界では起こり得ない、無理のある会話運びによって、王道のストーリーが開始されるのである。そして、通常にしては長いショットで、即興ではな…
Damien Chazelle監督 シンバルに滴る血とともに、浴びせられる罵詈雑言に『フルメタルジャケット』を思い出さずにはいられない。『フルメタルジャケット』の前半部を、現代的に解釈するとどうなるか。突き詰めると、本作のストーリーが出来上がる。主人公は…
Matteo Garrone監督 新しいタイプのストーリーの陰に隠れているが、撮り方も斬新なものが多い。古い原作だが、描かれている女性像はまさに現代よりで、今までの映画歴史では男の脇役でしかなかった女というキャラクターが一瞬たりとも現れず、奇妙な化け物と…
Davy Chou監督 青春時代に特有の笑いの要素を多く入れているが、描かれているのは現代の危うさ、若者の不安定さ、いつ訪れるかわからぬ破滅への静かなる警戒である。夜景の青ネオンが非常に綺麗。
Alejandro González Iñárritu監督 過剰なクローズアップと、画面が揺れるのを厭わない大胆なカメラ移動によって、さながら観客自らが主人公のように感じる。もはや使い古された、復讐の責任の所在を神に丸投げする、アメリカ文化ならではの病が、本作でも十…
吉田喜重監督 空間構成の独創性によって、煉獄を作り上げることができた。すなわち、ディテールショットで登場人物を描写しながらも、彼らは常に無表情を強いられているので、結果として近景や遠景の独創的な幾何学に私の目がいく。近代的、無機質なコンクリ…
Jean-Luc Godard, François Truffaut監督 語る映画。二人の個性が活かされた意味でまさに共作だ。
Jean-Pierre Dardenne,Luc Dardenne監督 極端なクローズアップの状態から、カメラを移動させる。すなわち、画面が揺れることが絶え間なく、常に緊張を強いられるシークエンスだ。テクニックの独創的な良さに加え、いわゆる社会派の役割を果たし、その嗅覚に…
Richard Quine監督 普通。恋愛映画としては、新しいストーリーをまさに紡ぎ出す映画監督と、彼のタイプライター女の話であり、虚構と現実がゆるく交錯する作りとなっていた。
Maggie Kiley監督 普通の恋愛映画。
Christopher McQuarrie監督 頭上からのショット、車載カメラ、撮影の手法はまさに大衆好みに寄り添っている。ストーリーは、謎を多く残した設定、戦闘と潜入のみ映し続ける姿勢、女優の肌露出を多くする、派手めのクラシック音楽を流して格調高い雰囲気を目…
François Truffaut監督 恋愛映画の手本。恋愛の駆け引きのシークエンスが多数入っている。この駆け引きが無くして、ただ成り行きでキスするだけで、悪漢や巨大新生物、貧困や孤独から救ってやるだけで、恋愛が成立する恋愛要素とは異なる。本当の恋愛映画は…
François Truffaut監督 恋人、その家族と仲良く食事をする主人公の男であったが、恋人が別の男とできてしまい、残された家族と寂しくテレビをみる。この展開が印象的だ。
Lucky McKee監督 昆虫マニアのレズビアン、昆虫学教授の娘でありレズビアン、謎の虫。到底組み合わせようと発想すらしないテーマを、全て混ぜ込み、すると、対象同士の反発しあうエネルギーが発生し、その勢いだけで一時間を駆け抜けてしまう映画。
Dario Argento監督 一時間の尺では取り扱えるテーマの幅が相当に狭くなり、使い古された手法に、落ちが読めてしまうデメリットがある。本作は典型的と言って良いが、冒頭から異形の女の姿、これには度肝を抜かれ、Dario Argentoを感じずにはいられない。ホラ…