a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

Ratatouille (2007) - ねずみのレストランのアニメーション

Directed by Brad Bird ねずみが冴えないコックに代わって名料理を作るという話。たのしいなぁたのしいなぁと思って観る。お決まりに忠実だから安心して、あぐらをかいて観れる。アニメという手法は料理も綺麗に描けるのだと感心する。 ピクサー・アニメーシ…

Happy Ending (2007) - 映画を観ない

Ken Loach監督 究極的な皮肉の作品で、映画を観ないというエンディングを用意した。それは良いが、タイトルがあまりにもブラック過ぎないか。

Zhanxiou Village (2007) - 盲目でも「観れる」ということ。

Chen Kaige監督 目が見えない人でも映画が「観れる」という。他の子供はチャップリンを観て大喜びして、チャップリンは目で観ないと笑えないはずであるが、それでも雰囲気を全身で感じている子供の姿があるではないか。その雰囲気は、映画座でないと感じるこ…

War in Peace (2007) - 戦争映画の残酷

Wim Wenders 監督 ようやく紛争がひと段落したアフリカで、映画がようやく観れるようになった。そんな平和な年に流れた映画が、戦争映画であったという皮肉な作品である。未だに戦争映画はよく作られているが、それは不幸を食い物にして娯楽を作っているので…

5,557 Miles From Cannes (2007) - 映画が普及していない世界

Walter Salles監督 トリュフォーの『大人は判ってくれない』を上映する映画座の前で、ブラジル音楽的なものを流す。映画座に入るでもなく、「ポルノ映画かなにかか」といって立ち去る。つまり映画を観る文化が浸透していないのだ。カンヌから遠く離れた地で…

Sole Meeting (2007) - 普通の作品

Manoel de Oliveira監督 これはいたって普通の作品である。

Awkward (2007) - ナンセンス劇

Elia Suleiman監督 ナンセンスを基調にした3分間である。あまり映像に華が無いと思うのだが。

The Last Dating Show (2007) - 楽しい脚本

Bille August監督 よく3分で出来たと思うほど滑らかな脚本。すばらしい出来である。監督や脚本家の若き日の実話なのかどうかはわからないが、悲しいはずの思い出が、映画への愛情という形で結集してどこかハッピーエンドのようになる。

Where Is My Romeo? (2007) - 映画を観る女の顔とは?

Abbas Kiarostami監督 固唾を呑んで映画を観ている観客の表情を映す作品。これは上手い着想だと感じるのは、監督が映画館というテーマを上手く生かしたことである。映画館であれば沢山の表情が撮れる、自宅で観ている人であれば一人の顔しか撮れない。『それ…

I Travelled 9000 km To Give It To You (2007) - 『アルファヴィル』のオマージュ

Wong Kar-wai監督 中国語では監督のことを「導演」と書く。 それはそれとして、ゴダールの『アルファヴィル』をオマージュにして、ディテール・ショットで重ねていく手法の滑らかなこと。とても自然で、上手い掌編である。

At the Suicide of the Last Jew in the World in the Last Cinema in the World (2007) - 長いタイトル

David Cronenberg監督。 ほとんど金をかけていない映画で、動かないカメラで、工夫できる余地は会話やタイトル以外に無いのである。しかし、その会話もタイトルも、あまり面白いものではなかった。アイロニカルではあるけれど。アイロニーが単独で立っている…

No Translation Needed (2007) - 謙虚な監督

Michael Cimino監督 ミュージックビデオを撮って、あまりに歌手が美しいので嫉妬からビデオをぐしゃぐしゃにする監督。ユーモラスで茶目っ気のある監督であった。きっと現実も優しい監督なのだろう。

Cinema erotiqur (2007) - エロチックの幻想

Roman Polanski監督。 ユーモアのある作品。エロチックな映画だから男はきっといやらしいことをしているに違いない。そう思ったとき、エロチックな映画という言葉の意味を考え直さなければならない。

First Kiss (2007) - 『カイロの紫のバラ』か。

Gus Van Sant監督 『カイロの紫のバラ』の要素がある。こちらもなかなか洒落ているかもしれないが、いまいちぱっとしない。少年が全裸ならまだ面白かったと思うのは、私が純朴ではないからだろうか。

The Cinema Around the Corner (2007) - 両親への愛

Claude Lelouch監督 『それぞれのシネマ』というオムニバス映画の趣旨に一番正直な映画ではないか。他方では虫を殺したり、役者を殺したりとファンタジスティックなものもあるが、Claude Lelouchがどのように育ってきて、どれだけ映画に愛をもっているのかと…

The Gift (2007) - 未開の土地に映画館ができる。

Raoul Ruiz監督 未開の土地に運ばれたひとつのラジオで、その土地に映画館ができたという伝聞の形式の話。

Occupations(2007) - 最悪の映画

Lars von Trier監督 監督が自ら出演して、映画を観ている。隣の男がおしゃべりで気が散るので殺してしまう。それもピッケルで執拗に頭を殴る。とんでもない人である。監督がおしゃべりな役者を殺してしまうのだから、怖い怖い掌編。しかしよく考えると、監督…

It's a Dream(2007) - 遺影と映画

Tsai Ming-liang監督 無くなった家族の写真にもひとつの座席を用意し、家族で映画を観る。遺影にも座席を用意する点が、アジア的発想なのだろうか、もしくは台湾的だろうか。西洋にはこのような感覚は無いだろう。

47 Years Later(2007) - 監督のための映画

Youssef Chahine監督 たった3分の映画で、映画監督の人生を映してしまう良い発想の作品である。仕事としての映画という観点だから、観客から観ればあまり感情移入できない点も否めない。映画業界の裏側をのぞくような心地すらする。

Upsurge (2007) - 騒動の手前を観る。

Oliver Assayas監督 映画館で元恋人のかばんを奪って、携帯電話で連絡をさせる。これが映画館である必要はあるが、映画館を愛している作品であるかどうかは不明である。男はかばんを奪って、映画館のそばにあるカフェバーで待機しているのだから、このあと一…

The Foundry (2007) - 労働者の映画

Aki kaurismaki監督 鋳造所の労働者たちが、6時に仕事を終えて娯楽として映画を観る。なぜリュミエール兄弟の初期の映画なのだろうか。とにかく、本作が描いているのは労働者の慰労や娯楽としての映画。

Artaud Double Bill (2007) - 人間は映画を観る存在である。

Atom Egoyan監督 それぞれ別の映画館で、恋人がそれぞれ別の映画を観ている。恋人が一緒に映画を観るという展開が多いなかで、二人は別々に映画を観て感想を連絡し合っている。観ている映画の中でアンナ・カリーナが『裁かるるジャンヌ』を観ており、誰がど…

Tha Lady Bug (2007) - 虫を倒して上映開始。

Jane Campion監督 映画館に住み着いている調子に乗った女の虫がいる。棒でつつこうとしても逃げられ、床でダンスをしているところを踏みつけても逃げられ、しかし最後にはやられてしまう。面白い映画である。虫を倒すことで合図になったかのように、映画上映…

Suspiria (1977) - 恐怖の原点

Dario Argento 監督 とりあえず寝ていれば良いのに寝ない。おとなしくしていれば良いのに学校の秘密を暴こうとして殺されてしまう。その様子の恐ろしいこと、本作を超えるものはない。 誇張されたライティングが興味をひく作品であり、赤を原点としながらも…

Movie Night (2007) - 映画とは皆で楽しむもの。

Zhang Yimou監督 村に移動映画館がやってくる。それを子供が楽しいなあ、楽しいなあとはしゃいでいる。そういう掌編である。映画館設備が整っていない地域や昔には、映画は家でTSUTAYAから借りて黙々と観るものではなかった。移動映画館が週や月に一回やって…

Anna (2007) - 映画は恋人と観るもの。

Alejandro Gonzalez Inarritu監督 二人の恋人同士が恋愛映画を観ている。映画とは恋人同士で観るものなのだと言うような作品である。そのうちに女はタバコを吸いたくなった。そして外に出る。男が追いかけて抱きしめる。その瞬間、恋愛映画のロマンチックな…

Absurda (2007) - 映画館のシュールリアル。

David Lynch監督。 スクリーンから鋏が飛び出ているというのが怖い。これは映画館を題材とする『それぞれのシネマ』のオムニバスであるが、むしろ映画館に挑戦状をたたきつけているような気がしなくもない。後の『インランド・エンパイア』のTV番組のシーク…

Darkness (2007) - 暗闇とディテール・ショット。

Jean-Pierre and Luc Dardenne両監督 ディテール・ショットの使い方が上手。暗い映画館で盗みを働こうとした少年の手を、映画に感極まった女が思わず掴むという内容。いい話なのかもしれないが、恐ろしい瞬間が混在している。こういう恐ろしい両義性というの…

The Electric Princess Picture House (2007) - 映画館への感謝の気持ち。

Hou Hsiao-Hsien監督 これは何だろう。観客席に誰一人いない上演である。閉鎖した映画座の記憶の残像を観ている。昔にぎわっていた映画座のショットを出し、次に現在の映画座のショットを出す。本当に現在の時間軸で映画が上映されたのかどうかはわからない…

Diary of a Moviegoer (2007) - 映画監督の映画への愛。

Nanni Moretti監督 映画監督が映画館で思い出について語る。息子とはじめて映画館に行った話、息子が7才になって『マトリックス2』を観に行く話。監督だからいくらでも映画について語れるのである。そこに家族のエピソードが加わるので、我々観客も感情移入…