a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

Dream of a Rarebit Fiend (1906) - 初めて、時計の振り子を重ねて時間経過を示した。

Edwin Stanton Porter監督。 重ね合わせという技法が使用された。いわゆるDissolveである。Dissolve自体は『月世界旅行』の方が歴史が早い。画面の下では主人公が寝ており、上部の空間をあけておく。この空間に別のストーリーをフェードインさせることによっ…

Scarecrow Pump (1904) - 活動写真というより、ただの劇。

Edwin Stanton Porter監督。 以前、『大列車強盗』を観た。あの作品においては、強盗が直接観客へむけて六発の銃弾を撃つシーンがあり、映画的な画面の構築に成功したのであった。一方こちらは、劇場でも実現しようと思えば実現できる内容である。

L'arriv?e d'un train en gare de La Ciotat (1895) - 列車到来を収めた初の作品。

Louis Lumière監督。 ストーリーは、題名にあるとおり、列車がLa ciotatに到着するという可能性を上映している。この上映だけで50秒とかからない。

Exiting the Factory (1895) - 映画の元祖。

Louis Lumière監督。 映画史から比較的に映画そのものを理解することもできる。本作は公開上映された中では現在最古の映画のうちのひとつである。暗がりの中から突然出現する馬は、さぞかしホテル・スクリーブ・パリ Sofitel Paris Le Scribe の人を驚かせた…

Interstellar (2014) - ブラックホールから交信するのは、もはやSFではなくファンタジーである。

Christopher Nolan監督。 『ダークナイト ライジング』も製作している監督であるが、どうにもぱっとしない画面しか撮らない。画面を構成するための技術は、移動、パン、ティルト、ズームの四種類をどのように組み合わせるかに分類される。もし静止させるので…

Jersey Boys (2014) - 安定的なカメラワークの技術水準を魅せる。

Clint Eastwood監督。 それぞれのショットはいずれも動的で、アングルは前のショットとは微妙に高低差があり、かつ俯瞰ショット、背後から撮るショット、歩いている主人公をカメラ移動、車のパン撮影もきれいに撮れていたし、全体的に技術水準の高さを感じた…

Tony Arzenta (1973) - こんな贅沢な映画、なかなか無い。

Duccio Tessari監督。 興味深い点として、配役のRichard Conteがあげられる。主人公の敵にしてマフィアのボスという役であるが、彼は『ゴッド・ファーザー』で主人公を裏切り暗殺しようとしたバルジーニを演じている。どちらも主人公をもっとも追いつめたボ…

The Double (2011) - ベテラン二人の白髪は、観るものを動揺させる。

Michael Brandt監督。 Richard GereとMartin Sheenが並んでいる正面ショットを見た時、おもわず感動した。綺麗な白髪をもったカリスマ性のある男がふたり並ぶショットはあまり目にかかることが無いためである。そして、その画はかなり映えるのである。

Indochine (1992) - バチストが、ふいに淫らに現れるという芸術。

Régis Warnier監督。 この映画で驚いた。Vincent Pérez が画面のあらゆるところから、ふいに姿を表す。走り出した車の中からみるフロントガラスにふいに黒い影が映る。走り出した車のドアがあくと、雨でずぶぬれになったPérezが、真顔で殺気立った表情でカメ…

Night at the Museum (2006) - 普通の映画。

Shawn Adam Levy監督。 名門南カリフォルニア大学を出ている監督であるが、まだまだ若い。画面を観ていて面白いところがない。 ある冴えない男が、息子持ちなのだけれど、博物館の夜間警備の仕事をまかされた。行ってみると、展示物がぜんぶ動き出す。これは…

Pink Cadillac (1989) - こんな良い画面ない。

Buddy Van Horn監督。 純血団の人間たちがおもしろい。張りぼての板の前にひとり立って、ボスがマシンガンでその人間のことを撃つ。うまいことその人間だけ避けて、まわりを撃つ。慣れてる人はガムをたべながらやっている。このガムを食うという演出が良いの…

License to Wed (2007) - ラストの窓辺と浜辺のシーンの単調のこと。

Ken Kwapis監督。 Robin Williamsはついに本文章を執筆している昨年に、死んでしまった。彼が出ていた映画で日本で有名といえば、『ジュマンジ』と『ナイトミュージアム』。日本人受けしているファミリーコメディーによく出ていた。 ジャン・ルノワールやベ…

Good Bye Lenin! (2002) - 東ドイツのピクルス瓶を探しあつめる。

Wolfgang Becker監督。 東西ドイツの崩壊の様子が、市民の生活という目線で非常によくわかる映画。東側にある夫婦がいた。その夫が宇宙飛行士で、宇宙飛行にいくどさくさにまぎれて西側に行ってしまった。それで奥さんはヒステリーっぽくなって、社会主義運…

かぐや姫の物語 (2013) - ふわりと舞う跳躍は、アニメでなければ表現し難いか。

高畠勲監督。 アニメーションが映画において絶対的に優位であるのは、跳躍の表現である。ただし、直線的な飛翔であれば、CGにおいても優位性は認められる。しかしながら、単に高速で飛ぶことと、跳躍ということの動的な意味合いは決定的に異なる。地面から出…

Stealing Beauty (1996) - 女が、自分が受け入れられる男をさがす物語。

Bernardo Bertolucci監督。 ここまで官能的な画面を構成する監督も、めずらしい。つまり他のあらかたの作品に比べて、シーン単体の流れるようなカメラ移動がすばらしい。画面の中において、人物の遠近感が常に変化するので、実体が目のなかに侵入しては引い…

秋刀魚の味(1962) - これが小津の遺作と知って観ると、悲しさがこみ上げる。

小津安二郎監督。 あまり映画本作の外の感傷を混同させるべきではないが、映画の天才淀川長治など映画本体から飛躍した知識で感動を語るから、まぁ良いだろう。本作が小津安二郎の遺作であると知れば、バーで流れる軍艦マーチも、最後廊下の奥の部屋で酔っぱ…

お茶漬けの味(1952) - お茶漬けにストーリーが収斂する、すばらしい作品。

小津安二郎監督。 本作がとても素晴らしいという所以は、お茶漬けの味という味覚に、物語のすべてが集結するように出来ているところである。お茶漬けの味というのは、中年夫婦の精神的な不仲の象徴であるが、その実体は妻の精神的な防衛線でもあり、夫という…

Terminator Salvation (2009) - 音楽と効果音の、絶望的なまでのオーバーラップ。

McG監督。 このような迫力のある爆発を含む作品は、映画館か、もしくは自宅における大きなスクリーンにおいて視聴するべきだ。残念ながら、自宅の小さなTVの中で観た。 ハリウッド映画のある種類に典型的で通常3作品以上の連作の形をとっていて、人類がなに…

Whiteout(2009)-近年ひさびさの良作品。空間に閉じ込められる人間たち。

Dominic Sena監督。 南極という極限的な環境にあろうがなかろうが、主人公たちはかならず何らかの小空間にとらわれてしまうのであり、例えば氷の分厚い層の中に埋まった輸送機の中であろうと、南極の小基地であろうと、その小さい闇や恐怖をふくむ空間にとじ…

Born to Raise Hell (2010) - パーカー着てSEXする謎のセガールおやじ。

Lauro Chartrand監督。 女と男がいちゃいちゃするのだが、女は全裸なのに男は黒のパーカーを着たままという謎な構図がある映画。こう、画面に対する美意識というものの絶望的な不在を感じる。 麻薬取締の警察官と、麻薬密売人が銃で殺し合うという、通常のス…

Nine Lives (2005) - ワンショットの魔物。

Rodrigo Garcia監督。 9の掌編をあわせている。可能である限り、ひとつのショットでひとつの掌編を作らんとする創意工夫にあふれた作品たちで構成されており、作品のメッセージも示唆に飛んでいる。 一点だけ音楽の使い方が絶望的なまでに私の好みと外れてお…

Bridget Jones’s Diary (2001) - 役者が非常に良く映った、名作。

簡単にストーリーをまとめてしまって良いのであれば、独身女が婚活をすることを土台にした、シンデレラにも似たサクセスストーリーである。 コメディを撮らせたらきわめて自然に型にはまれる Renée Zellwger。そして気品のある純朴な登場人物として不動のオ…

Mammoth (2006) - B-movieとして楽しいハイブリッド性。

Tim Cox監督。 マンモスの登場と隕石の衝突を組み合わせるというなかなかの作品である。オープニングでは古代壁画のカートゥーンが出て来て、その次のシーンは学者が試験官などを手に保っており、近代科学とハイブリッドする。 ここで文字に起こすと笑ってし…

Rompecabezas (2010) - 非日常ぐらいは誰にも干渉されずに守らんと。

Natalia Smirnoff監督。 アルゼンチンの映画だからといって、他国と特別変わっている点はない。特に、ある主人公の日常を描き、その日常の中にひそむ虚無を浮き彫りにしていく過程は『SOMEWHERE』との類似点を感じる。つまり、ストーリーとして根底としては…

? bout de souffle (1959) - 魂がぬける、タバコ煙のひとかたまりが逸品的である。

Jean-Luc Godard監督 男が女とともに警察から逃避行する。しかし、途中から女が裏切る事になり、男は悲惨な結末をむかえるというストーリー。重要なのは、これがサクセスストーリーではなく、ある男がほとんど無意味的にただ死ぬというストーリーである点で…

ルパン三世 血の刻印 ~永遠のMermaid~(2011) - こういう映画に出る悪役は、なぜノーベル賞をとろうとせず軍事転用ばかりしたがるのか。

滝口禎一監督 東京を舞台にしている、ルパン三世の派生映画である。出来は普通だ。それにしても本作にでてくるマキという人間、あんな賭け値なして純朴な女がいるだろうか。男が好き勝手につくった典型的なキャラクターのように感じる。 ところで、よくある…

ルパン三世 princess of the breeze~隠された空中都市~(2013)- とんな技術不足。

金崎貴臣監督。 ストーリーにしても、アニメ技法が優れる跳躍の描写も、まったく不足している。まず作画があちらこちらと不自然である。 まず、人物の移動やその軌跡から生まれる効果を理解していない。所詮この程度かという感じである。 ただ商業的なイメー…

ルパン三世 カリオストロの城(1979)- こんなエンターテイメント他にない。

宮崎駿監督。 アニメという手法が他のあらゆる映画と一線を画す優れた技法は、跳躍の描写である。本作はあまりにも有名なので作中の例を挙げてしまうと、塔から塔への跳躍などである。 ただし、本作の跳躍はいわば「王の跳躍」である。どの他のアニメよりも…

Any Day Now (2012) - 本作のように実際に障碍者を演者として器用すべき。

Travis Fine監督。 作品のカメラワークはまだ未熟だけれど、興味深い作品。なぜなら、作中にゲイ(これは演じている)とダウン症の演者が登場する。ダウン症児であるMarcoを演じるIsaac Leyvaという人を私は知らなかったが、本作の状況にやや感動した。 映画に…

La vie d’Ad?le (2013) - そこまで良くはないだろう、スピルバーグ。

Abdellatif Kechiche監督。 助演は『ミッドナイト・イン・パリ』、『美女と野獣(2014)』などの出演で知られるLéa Seydouxである。主演はAdèle Exarchopoulosである。彼女は私はあまり知らない。 本作の主眼は通常のレズもの映画、すなわち片方はレズ経験者で…