a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Bridget Jones’s Diary (2001) - 役者が非常に良く映った、名作。

簡単にストーリーをまとめてしまって良いのであれば、独身女が婚活をすることを土台にした、シンデレラにも似たサクセスストーリーである。 コメディを撮らせたらきわめて自然に型にはまれる Renée Zellwger。そして気品のある純朴な登場人物として不動のオーラを出せる Colin Firth。どちらも本作において天才的な役のはまり方をみせた。映画とはなかなかに残酷な空間で、いかに上手い役者であっても演じてみるまでは、納得できるキャラクターを演じられるかどうかわからない。 よく商業キャッチコピーで (しかも、日本人がよく好むやつで) 「豪華キャストによる共演」と銘打ったハリウッド最新作は、恐怖的なまでにつまらないことがある。それは、おそらくその映画という残酷な空間の裏切りのせいなのだ。 しかし、本作は、二人が本当にうまくはまっている。この映画に愛された。 とりあえず、いかに二人がうまく映画の画面内に収まっているかを観て頂きたい。 Renée Zellwgerは、ここ最近は何をしているのかよくわからないが、この頃の映画は彼女の全盛期だった。本作の翌年には『シカゴ』が出ている。当たり前の職業柄かもしれないが、よく体重を乱高下させられるなと感心してしまう。 Colin Firthは、本作より10年ほど後の『英国王のスピーチ』でも、ほとんど本作とキャラクターの表情を変えずに突き通している。何年経過しても同一のキャラクター設定でOKという、すさまじい役型を形成している。 作品の中でひとつ考えたのが、恋愛や愛情において、精神と肉体が一元論的であった点である。 すなわち、精神的なだけではなく、肉体的にも「自然が一番」とする作品であったということだ。 作品の後半部におけるシークエンスにて、本作においては、浮気していた人の顔は「紫の顔」に見え、夫の顔の色は自然に見えてくる。なるほど精神的な意味での恋愛だけではなく、肉体的な意味でも感覚受容が「自然」を求めるようにストーリーが動いて行く。 この「自然」を探求する、本作におけるストーリーの力はすさまじい。