細田守監督。
本作は、現代を少なくとも風刺している作品である。脆弱なネットワーク技術、家族関係の希薄化、これらを上手く風刺している。しかし一方では、アメリカアクション映画に似たようなアクションのアングルも存在する。アメリカ映画と日本のアニメ文化がハイブリッドされた様相を持っている。
主題はすべて、オリジナリティにあふれるのではなくどこかで取り上げられたような内容である。しかし唯一独創しているのは、映画世界内で起きているストーリーが、そのまま映画世界内の更に内側であるアバターの世界へと、そのままストーリーが引き継がれることである。この展開が起きるためには、映画内の現実世界と、同じく映画内のさらに中のアバター世界が等位接続されている必要がある。そしてまた、アニメでこそ実現できるそれぞれの世界の共通描写があるはずだ。
本作はあと10年経てば、その時代にとっては鑑賞に堪えないものになってしまうに違いない。しかし、2000年代の前半から、2010年代の後半にかけての時代をおおいに反映している映画である。いつの時代になっても、本作はその時代を反映するものとして相応に扱われるべきである。