a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

A Woman(1915) - 天才あらわる。

Charlie Chaplin監督

 この女性は誰だろう、と思ったらChaplinなのである。まさか15年にCharlieが白いドレスを着て廊下をランウェイのように自信げに歩いているとは想像できないから、本作には驚かされる。Edna Purvianceが、あなた髭を剃って私の靴をはいたら完璧になるわよと言う。そうしてできた「女」は大したものだ。Ednaが悪事をけしかけるという構図もまた珍しい。

 ここまで手の込んだ女装や、男同士のキスなど、いままでの作品にはなかった気鋭の作品である。それが、『チャップリンのお仕事』の流れで突然入ってきた。社会派の映画監督になるのかと思いきや、前衛の作家になった。本作は15年の文化からみたら卑猥であり下品であったからだ。Charlieの監督としての変幻自在とはまさにこのことだろう。

 確かにスラップスティック・コメディに女装を足しただけの作品ではあるのだが、ここにエンターテイメント映画としての先駆けがあるではないか。兎に角観客を笑わせたい、驚かせたいという一心で作られた様子が、本作の作り方を観ているとよくわかる。

(髭を取ったCharlie。トレードマークを取るとここまで変わるのであった。)

(男のくせに男に色仕掛けをかけるCharlie。)