a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

横道世之介(2008) - 最近の日本映画も悪くないぞ。

沖田修一監督。

なんというか、こう同世代の監督の中で世界中を見渡したとしても、この監督の技は引けを取ってはいない。

私としては音楽の使い方がどうにも性に合わない監督ではあるのだが、基本的には長いショットを得意にしているようだ。以前、アメリカ映画でコロンビア出身の監督の作品『美しい人』でも述べたと思うのだが、一分以上も持続するショットというものには、必然的ともいえる登場人物の特定の動きが存在する。すなわち、ほぼ固定された範囲しかとれないカメラの空間のまわりで、登場人物は出たり入ったりする運動が発生する。本作における人間の運動というものも、大体そんな感じに収まっている。

横道世之介という主人公が、ちょっと他の人間達の人生に彩りを与えていたのだよ、と語りかけてくるような作風となっている。その意味で、どちらかといえば主人公たちというのはまわりの登場人物たちで、横道世之介自体は、なんというか主人公級の人間としては立ち回っていないように見える。

小津安二郎が拘っていたローアングル、但し小津のような撮り方ではないが、割とローアングルの手法に拘っていたか。また、沖田において特徴的な、どちらかと言えば女性に対する、信奉的というか、男性をこっけいに表現したい欲とでもいうのだろうか、そのような価値観を感じた次第。

都会派であり、小市民的なテーマを取る本作品の監督の続編に期待したい。