a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Shopgirl (2005) - 映画における「緑の部屋」の効果を観る。

Anand Tucker監督。

緑を基調とした部屋を久々に観たという印象であった。確か、以前は『バクダッ

ドカフェ』でその部屋を観て、それから半年以上の月日が経って本作の中で久々

に観た。個人的な意見としては、緑の部屋は人間の表情を映すことには向かない

。よって、映画向きの基調にはなりにくいということである。しかし、監督は役

者の服に緑を取り入れるなど、より積極的に画面を緑色にしようとしている。北

野武のブルーはわかる、ゴダールのレッドもわかる、しかし映画における緑はよ

くわからない。個人的には緑を非常に好いているのだが、映画における説話空間

に緑が合わないように思う。

ところで、男女の肉体同士が接触したとき、もしヘミングウェイであれば「=情

愛」の図式に入ってしまいそうなものであるが、近代の映画であればそうはいか

ない。人間を身体と精神の統合体と考えた際に、精神の方により比重を置くこと

が近代における映画の定石である。身体の方に比重を置くことは、「前時代的」

もしくは「低予算でニッチな領域」の烙印を押されかねない勢いである。果たし

てその観念は本当に正しいのか、映画においては女優が着衣を一肌脱ぐことすら

も定石になりつつある映画界において、この二元論に対する解決は必要であるこ

とではないのか。

しかし、途中で抗うつ剤の話になって、確かにこの女は男と会う度にはしゃぎす

ぎていたなと思い返す次第である。