コーヒーの水面のdetail shotという特徴的なシークエンスを持つ。男はカフェ
でコーヒーをぼんやりと眺めながら、思考にふけっている。どのような思考をし
ているのかは、カメラが正面から男を捉えても、側面から捉えてもその真実に到
達することはできない。そこで、あえて俳優達は言葉によって朗読をする。言葉
がなければ、映画は真実には到達できないということである。監督はその姿勢を
明瞭にするために、わざと俳優たちを行為の途中でもカメラに向かせて、今思っ
ていること=意識、自分の歩んできた過去=歴史、を語る。
自らの意識について思考をめぐらせ、それに疲れたらタバコをふかすというのが