a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Le Mepris(1963) - 珍しいシネマスコープを観る。

Jean-Luc Godard監督。

シネマスコープを採用するとは、この監督にしては珍しいことである。シネマス

コープの問題点は、面長である西洋人の顔を収めるにはむずかしい点である。必

然と、画面全体に占める表情の大きさが減るので、感情描写がむずかしくなる。

映画とは、通常の世界を通常通りに撮ると、人間達がひどく下品でつまらないも

のに見える性質がある。シネマスコープは、人間の感情をうまくクローズアップ

できなければ、その下品さに落ちてしまう危険性をはらんでいる。本作と時代が

異なるが、『ムーランルージュ!』を観ると良い。そこでは、面長のNicole

Kidmanの顔を特に収めきれないので、豪華喧騒な背景によって、映画が下品に堕

さないよう努力がされている。

本作では、横にスクロールする撮影が目立った。男と女は似ているようで、中身

が全然似ていないということが問題なのである。