a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

SOMEWHERE (2010) - 映画音楽が秀逸。Elle Fanningの配役が完璧であった映画。

Sofia Coppola監督。

車が画面の外から画面の中へと入って行く構図は、良く観られる。冒頭に入れるもので有名な作品は、A.Tarkovskyの「ノスタルジア」である。もっとも、本作はスポーツカーが案外と多く描写されているのである。

ひとつには、映画音楽が良い。そして、平穏な日常であるようで平穏な日常ではないところに、ストーリーが成り立つことがわかる作品。Elle Fanningのように、華やかで、インテリジェンスで(そのため、眼鏡をかけながらMacをいじっている描写がある)、料理ができるような、素敵な日常のエッセンスを入れられる娘が必要である。その娘が帰ってしまって、素敵な日常と十分に対比されてからの、主人公である父親の日常が本作のキモである。父親の生活の退廃さといったら! パスタはまずそうであるし、突発的なセックスに愛もないし、人生の素敵な要素が見当たらないのである。

子供であっても、大人であっても、日常に楽しさがなければ泣いてしまう。そんな動物にはない人間の弱さを発見し、また大人だからこそ観て欲しい心温まる映画である。