Rob Cohen監督。
当時のCGレベルでは、なかなかのドラゴンを見せてくれる。
自分が何のアクションを起こさなくとも、世の中はある規則に従って動き、その結果として世界は調和されるという立場が、Schopenhauerのいうところのoptimismである。本作のドラゴンにしても、登場人物にしても、非常に楽観的である。
非人間であるドラゴンは、完全に移植されたような人格化が施されているものの、唯一の生き残りとなった一体のドラゴンが主人公であることは、めずらしい。ストーリーは、そのドラゴンが天国に行くために、自らの心臓を捧げることで解決する。自らの心臓をささげることによって、かつて過去に心臓の半分をあたえた人間ー彼は暴虐で自堕落な領主となっているーも死ぬ。領域内のだれもが、この領主さえ死ねば幸せな生活が訪れると思っているが、現実にはそのような事はあり得ないのであって、必ず内乱の末に再腐敗がおこる。しかし、ストーリーはその手前で切ることができる都合の良い存在でもある。本作においては誰もがoptimistなのであった。