Dario Argento 監督
音楽に違和感があるので、展開がよめない。というのも現代の邦画にしてもハリウッド映画にしても、ましてやフランス映画でさえもストーリーにある典型的な映画音楽の雰囲気というものが決まっている。それがプログレッシブ・ロックになれば、現代映画になれた現代人が、映画の展開を音楽で類推することなどほぼ不可能であろう。
目、口、そして手先がきれいな女優を起用する傾向にあるDario Argentoは、本作で色気という存在を無視することをせず、むしろ開き直って多用している感がある。つまりJennifer Connellyの弱冠14才の太股を際立たせるような演出をし、際立つような白い衣装を意図的に着させているのである。これは『サスペリア』には観られなかった。一方で『オペラ座/血の喝采』にはあった監督自身の創意工夫味のある進歩点のひとつなのであろう。
最後、戦いから勝利して水からあがる少女の神々しさには見とれる。この神々しさは、つかぬことであるがAndrey Tarkovskyの女像にも似て、一方で似ていない。