Isabel Coixet監督。
『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。
小道具として村上春樹の「スプートニクの恋人」が出てくる。パリの街はさまざまな国の移民でグローバルであるが、映画に登場する小道具でさえもグローバルになっていく時代である。主人公の男は、その本のどこが面白いのかがわからない。世界中の国の嗜好品が集まると、夫婦やたとえ恋人であったとしても、その好みには差が出るものである。そこで、その差を笑いをさそうようなコメディカルな描写として使う映画が出てきた。『ミッドナイトインパリ』では、アメリカで婚約をしてパリに旅行にやってきた恋人が、冷静になってみると二人の嗜好はほとんどが合致しておらず、唯一合致しているのは「中華料理だけ」であったと言う。
本作も、オムニバス内のほかの多くの作品と同様に、そのまま映画ストーリーの冒頭のシークエンスに使用できる質である。