a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Final Approach (2007) - ストーリーが偶然の飛来に左右されるということ。

Armand Mastroianni監督。

『ストーリー展開の弁証法』で述べたことであるが、ストーリーの展開には偶然の飛来という条件を使うことができる。ある密室で事件に巻き込まれたという、ある種類の典型的なアクション映画においては、ストーリーの展開を促進させるような技能的人間が偶然にも居合わせることになる。搭乗者が犯人に撃たれるという展開は、本作のような映画にありがちであるが、撃たれた直後には搭乗者の誰かが「私は医者だ」と言って登場してくることになる。これが、偶然の飛来である。爆発物が詰まれていたら、「私は過去に爆発物処理の仕事をしていた」と言って登場してくる人間が、居るということである。そしてまた、ニュースキャスターが実際に現場報告をしはじめることも典型である。

この偶然の飛来のもっとも汎用されていることは、ある事件が起こった際に、登場人物の中に現役FBIか警察、もしくは退役したFBIか警察がいて、事件を独力で解決しはじめるというものである。

果たして現実において、飛行機の中に偶然に乗り合わせた100人程度の中に、都合よくFBIと、医者と、ニュースキャスターと、爆発物処理経験者が、一人ずつ乗っているものだろうか。このような分散は、どう考えても現実には考えにくい。そのため、これを脚本家が想像する偶然性の飛来と呼ぶのである。