Dario Argento 監督
多少肩に力が入っているというか、犯人の独白がかなり長い。つまりどうして猟奇的・精神異常的殺人を引き起こすのかという叙情的独白があった。それが本作以後の『サスペリア』や『フェノミナ』、『オペラ座/血の喝采』あたりになると犯人の独白のカットがほとんど無い。動機を論理的に万人に納得させる作業は彼のホラー映画の世界にとっては必要なことではないと思うようになったのかもしれない。もしくは、彼の作品を初めから観ていれば、猟奇的犯人の動機はどの作品にも通じる共通点があることが明らかなので、毎回おなじ台詞を繰り返させるのは如何なものかと現実的な問題もある。
さて、圧巻なのはラストのスローモーションのシークエンスである。これが圧倒的に綺麗。これを超える美的な最期は、他のあらゆる映画にもないかもしれない。