a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Nostalghia(1983) - ロシア人が温泉を巡る映画

水たまりに水滴が落ちるという叙情を取り入れる。Andrei Tarkovsky監督の常套手段である。今回はバーニョ・ヴィニョーニという温泉街にて、温泉を景色として5分ほどの長まわしがある。湯気を背景として人物が動く。

まるでこちらに語りかけているようなシーンを多く含む。具体的には、俳優は正面を向いてしばらく語りかける。その後にカメラが少し動き、複数の人間が映るようになる。

作者の幼少時代をテーマとしたのではないかと思う。Tarkovsky(父)の詩集が登場して、イタリア語に翻訳した詩集でロシアの何が分かるものかと喝破する。幼少期のフラッシュバックが複数出て来て、作品の最後ではこの映画が母へと捧げられたことがわかる。

独特のユーモアセンスが光る作品でもある。肩の力が非常に抜けているというか、非常にさっぱりした映画である。一年に一回は観たい作品。