a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Lethal Weapon (1987) - 最後、クリスマスの夜に決闘させたことの意味。

Richard Donner監督。

自殺願望のありそうな刑事と、他方そうではない一般的な家族持ちの刑事による麻薬捜査のストーリーである。

刑事が二人組で捜査をする形式では、互いの主義主張・性格に大きな乖離を前提することが普通である。そうすることで、片方の言動は、他方の人間が持つ主義や性格に対する挑発になるため、結果として双方の可能性量の上昇もしくは減少の契機、もしくは量の可変そのものになる。そのため、Mel Gibsonが捨て身の破天荒なやり方をすればDanny Gloverは怒ることになり、またその逆もしかりである。双方向的な使用の仕方は『L.A.コンフィデンシャル』であるが、この前提は弁証法的に理解することができ、本作はMel Gibsonの人格的な可能性量の変化量の方が大きかった。本作は、割に一方方向的なストーリー展開である。

この作品は、普通に敵を爆殺させては意味がないので、最後に殴り合いの決闘をさせる。フランス的な決闘とは別の、自分の精神的安定の在処をとりもどすための決闘である。『L.A.コンフィデンシャル』では警官がこれに似たようなことをして、大スキャンダルの末に警官が多数死ぬ事件に発展するのだが。本作はきわめて温和で、最後の決闘の場を通じて、ようやくMel Gibsonは楽しい日を手に入れることができるのであった。