Dario Argento 監督
深いストーリーだけれども、後味がさっぱりしている。ダリオ・アルジェントの特徴は、不快な感覚を残さないことにあって、たとえば犯人をなるべく残酷な方法で死ぬようしむけたり、犯人を勧善懲悪もしくは因果応報に断罪することが無い。殺すときは殺すし、殺さないときは殺さない。その潔さがあるので、鑑賞後のすっきりとした余韻が残る。
初監督作品でこれだけのレベルが取れれば、相当に才能のある監督である。美術や音楽の素養がもともと彼にはあって、美術を犯行の契機と結びつける芸当は、彼にしか出来ない技だろう。