Dario Argento監督
個人的に気に入らなかった部分は、ドラキュラ伯爵のカットが多く感じた点である。あまりにも吸血鬼たちがあっけなく殺されるので、少なくともドラキュラ伯爵には超常的な魅力を描写して欲しかったのだが、カットが多すぎたために数ある凡庸なキャラクターのうちの一人に見えた。もうすこし特別感が欲しかった。
ドラキュラといえばコッポラの『ドラキュラ』が真っ先に思い浮かぶが、その特別感なるものはコッポラの作に十分に出ている。なぜかといえば、演じるGary Oldmanの登場するタイミングを厳密に抑制していたからである。彼のシークエンスが希少になるほど、また彼が直接手をくだす機会が少ないほど、より特別な存在になっていく。
コッポラのが好きであれば、当然アルジェントのは難ありと思う。もちろん、処女作から「あっけなく殺し、あっけなく殺される」を一貫して撮影してきたアルジェントならではの魅力はある。特筆すべきはドラキュラが3Dになったということである。