Guy Hamilton監督
『007』シリーズの3作目である。アストンマーチンとロールスロイスが山間でカーチェイスを繰り広げる、まさに映画の黄金期である。この黄金期というフレーズ、映画においては潤沢に資金をかけられてかつ表現の可能性をより探求できる時期のことであるが、まさに本作がそれである。後の『007 慰めの報酬』にて、全身石油をかけられる美女が出てくるが、本作の金粉を塗られる女のオマージュである。『007 スカイフォール』に登場する無線発信機は、本作で靴底に仕掛ける無線発信機のオマージュである。現代の007シリーズは、黄金期ではない。このシリーズの真骨頂は、過去の作品にこそある。