Anthony Asquith監督
ストーリーに面白さはなく、むしろ、映画の媒体を通して60年代の世界観を観る。ロールスロイスは、真っ先に『ゴールドフィンガー』を思い出すわけで、よろしくない仕事をして稼いだ人の車、という印象もある。そこで、本作はオムニバスで三作繋がりであるが、やはり一作目、二作目は、よろしくない男たちの車なのであった。Ingrid Bergmanは、三作目のオーナーになり、古典的なストーリーで、英雄的な働きを見せる。ここで、ロールスロイスの印象が、多少、良くなるように見せている。そして、結局、豪華な俳優陣を迎えて、何が言いたかったのか、あえて黄色いロールスロイスである意味、全てが無いまま終わる。ただ豪華という一点に全てを捧げ、映画がもっとも芳醇で金が湯水のごとく使われた、黄金時代を象徴するのである。