a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

1970年代 普通 (好みで)

Flesh for Frankenstein (1973) - 生き血

Paul Morrissey監督 綺麗な顔の俳優がたくさん登場し、バッタバッタと内臓を見せて死んでいく作品。散りゆく美学とやらを表現している、アンディ・ウォーホールの慣習した作品。音楽の雰囲気にのれないと、最後まで観るのは厳しい。

Secondo Il Mio Occhio Di Vetro (1972) - 残像

Paolo Gioli 監督 目に残像が残るほどに細かくショットを重ね、男の像が見え隠れする。映像ならではの体験で、人間とは何かがなんとなくわかった気になる。

Berlin Horse (1970) - サイケデリックに酔う

Malcolm Le Grice 監督 サイケデリックに酔うことのできる短編。これが何時間も続いたら、とても観てはいられない。

The Last Petal (1977) - やさしさといじわる

Roman Kachanov監督 願い事がかなう魔法の花びらがあり、最後の一枚を足が動かない少年のために使う。監督は、私が知る限り主人公がすべて少年であるが、半数かそれ以上は少女である。後の『Metamorphosis』で登場するような、いじわるな性格の男の子は稀だ…

Aurore (1973) - 表現の開拓

Roman Kachanov監督 監督は人形アニメをたくさん作ってから、本作あたりで戦争時の写真を引用し、表現方法の開拓をはじめている。長く映画製作を行うと、ひとつの表現方法から、複数の表現への融合が図られる。その移行期における格好の主題は、歴史である。…

Priklyucheniya Neznayki i ego druzey (1972) - 気球の旅

Roman Kachanov監督 題名の英語訳が不明である。気球の旅に出る少年の話。監督の人形アニメで、空を浮遊し続けるシーンは珍しい。子供心に溢れた作品。 (気球に乗り込む)

Metamorphosis (1978) - 気づき

Roman Kachanov監督 険しい顔をしたいたずら好きの少年が、盲目の少女と出会い、何らかの心の変化があった。

Shapoklyak (1974) - おばあさん

Roman Kachanov監督 シャパクリャクも根強い人気があり、コスプレヤーもいるらしい。監督が以前用いた、電車の題材が発展して使われている。

Cheburashka (1971) - タヌキ

Roman Kachanov監督 躍動感のあるチェブラーシカシリーズの二作目。監督のユーモアが炸裂している。

Mama (1972) - 危機感

Roman Kachanov監督 子供をひとり家に置いて、子供のことが心配な母親を描いた。母親の移動速度に緩急がある点と、映画と同水準の俯瞰ショットが特徴的。 (急ぎ家へと戻る母親)

The Creation of Birds(1972) - 自然

Frédéric Back監督 人間が自然と楽しく過ごす。そして子供が春の恋しさに泣くと、空が春を持ってきてくれる。人間と自然はコミュニケーション可能な主題を持っていて、本作だけではなく監督の生涯の主題でもある。それが現代社会の問題点と繋がるかというと…

INON OR THE CONQUEST OF FIRE (1972) - 火

Frédéric Back監督 火のアニメーションが表現豊かである。一見の価値がある。 (火)

Abracadabra (1970) - ディスコミュニケーション

Frédéric Back監督 世界を平和にしていた太陽を奪われてしまい、楽しく会話できなくなってしまった各国の子供が、太陽を偶然にも取り戻す。本作は、太陽を隠しにきた悪が、なにを表象しているか明らかでないため、単なるストーリー色が強い。 (国際色豊かな…

All Nothing(1978) - 虹

Frédéric Back監督 監督のテーマは生涯共通なので、『Taratata!』と根底が同じ作品。物欲が、どのようにして人間を暴力的にし、その幸せを奪うかを描く。最後に、その幸せを想像するかのように、口をへの字にふさぎ、その口の輪郭がクローズアップされて虹が…

?ILLUSION? (1975) - 都市悪

Frédéric Back監督 都市を悪ととらえる簡単な構図なので、見やすい。その都市は、金と欲望、ドラック、個性を無視した単一化、生きがいのない労働、精神的な重荷へと連関していく。単純な構図なだけに、普遍性を帯びる。 (うさぎ好きにはたまらない)

Leonardo's Diary (1972) - 日常

Jan Švankmajer監督 解剖の描画が登場し、やがて日常の風景が実写され、若者の笑顔と共に終わる。明るいマーチの音楽と、笑顔の実写を入れれば、映画の作風を明るくすることは容易いとわかる。アニメーションの対象は様々に分解され、『Virile Games』などの…

Castle of Otranto (1979) - 挿絵

Jan Švankmajer監督 小説の挿絵をアニメーションで上手く動かして、音楽を対応させた。新規性は薄いが、綺麗な作品である。

The Ossuary (1970) - 納骨堂

Jan Švankmajer監督 プラハの東に行くと、礼拝堂が人骨で装飾されているセドレツ納骨堂があるという。鎖骨や肋骨、上腕骨を組み合わせてアルファベットを作る、という具合である。音楽に合わせて画面を動かし、クローズアップ、パン、ショットを切り替えする…

煉獄エロイカ (1970) - 煉獄におけるカメラ作法

吉田喜重監督 空間構成の独創性によって、煉獄を作り上げることができた。すなわち、ディテールショットで登場人物を描写しながらも、彼らは常に無表情を強いられているので、結果として近景や遠景の独創的な幾何学に私の目がいく。近代的、無機質なコンクリ…

Camera Buff (1979) - 監督の自伝的なものか?

Krzysztof Kie?lowski監督 給料何ヶ月分かをはたいてカメラを買った男の物語。主人公が監督である作品は、その監督の自伝的性質を帯びると信じている私は、キシェロフスキ監督の純朴な映画撮影愛を本作から見た。しかし、あからさまな悲劇ではなく、どこか喜…

The Scar (1976) - 子供と戯れる

Krzysztof Kie?lowski監督 工場長に任命された男の、その任務に就いてから離れるまで、家族(特に娘)との不和について、を描く。それら主題の解決が、ラストシーンの子供との戯れであった。家庭的な男の本能というのか、仕事に疲れはて不純なものがすべて洗い…

Saturday Night Fever(1977) - 時代を反映した

John Badham監督 時代を反映しない映画など存在しないのだが、世相をよく反映した作品は存在する。本作がそれである。

団地妻 しのび逢い(1972) - だんだんと心地よく、、?

西村昭五郎監督 今回、開始してから20分ほどくらいは冷めて観ていたのだが、30分を過ぎたあたりからだんだんとノッてきてしまって、「ロマンポルノの魅力」を始めて体感した次第である。もちろん性的な意味でノッたのではないが、団地妻の存在がだんだんと愛…

Claire's Knee (1970) - 作品としての美しさ

Éric Rohmer監督 説明不要の美しい作品である。私の叙述能力不足という問題というよりも、ストーリーを説明すると美しくなくなってしまう作品だからである。ストーリーに気をとらわれていると間違いなくClaireの膝への性的憧憬を共感できなくなり、それは観…

STAR WARS EPISODE IV A NEW HOPE (1977) - 普通に良い

George Lucas 監督 物語の最後は祭典とともに主人公たちを一画面に映して、さっさとエンドクレジットに移行して終わる。『スターウォーズ』IからVIまでの作品に共通するラストシークエンスの立てかたである。恒常的な宇宙戦争に一息ついてささやかな祝祭をあ…

Four Flies on Grey Velvet(1971) - 圧巻のラスト

Dario Argento 監督 多少肩に力が入っているというか、犯人の独白がかなり長い。つまりどうして猟奇的・精神異常的殺人を引き起こすのかという叙情的独白があった。それが本作以後の『サスペリア』や『フェノミナ』、『オペラ座/血の喝采』あたりになると犯…

Eyewitness (in "Door into Darkness")(1973) - 「めまい」の彼風のアレンジ

Dario Argento監督 金髪で灰色のスーツを着た死者を観ればまっさきに『めまい』が思い出される。本作はアルジェントがお茶の間にわかりやすいように、軽妙にアレンジした作品である。実際にはその死者が死者ではないことや、身近な共犯者がいる点なども『め…

The Tram (in "Door into Darkness") (1973) - 平均的犯罪者という用語

Dario Argento 監督 彼の特徴的なカメラワークが確立している。たとえば緊張した面持ちのアップである。プログレッシブ音楽を途切れさせることなく流すことで、単に十数秒流すのとは違う意味合いが生まれる。この効果に気づいたのはアルジェントならではの功…

The Bird with the Crystal Plumage(1970) - 美術を映画と直接的に結びつける技

Dario Argento 監督 深いストーリーだけれども、後味がさっぱりしている。ダリオ・アルジェントの特徴は、不快な感覚を残さないことにあって、たとえば犯人をなるべく残酷な方法で死ぬようしむけたり、犯人を勧善懲悪もしくは因果応報に断罪することが無い。…

M*A*S*H (1970) - スピーカーの魔法を観る。

Robert Altman 監督 これは朝鮮戦争の戦線近くの米軍の野戦病院の話である。しかし、冒頭のテロップと多少のシークエンスを除けば、まったく朝鮮戦争には見えない。むしろこれはベトナム戦争のように見える。 監督はこの点に対して、米国人に忘れられかけて…