a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2010年代 普通 (好みで)

Certified Copy (2010) - マイルドテイスト

Abbas Kiarostami監督 会話時に切り返しショットをむやみに使わない。切り返しショットは常套手段になりつつあるが、小津安二郎を参考にしたかのような画面を構成して、新鮮味がある。大人が口論するだけの映画といえば、ロマン・ポランスキーの『おとなのけ…

ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う (2010) - のんびり食事を

石井隆監督 のんびり弁当を食べるラストが印象的で、このような緩急は嫌いではなかった。題名通り、ヒロインは愛を惜しみなく奪われているが、愛ゆえに愛を失ったというのではなく、元々機能不全な家庭に育って愛がそもそもわからない、ということである。 …

Begin Again(2013) - 工夫

John Carney監督 シンガーソングライターとプロデューサーの、恋愛映画。正確には恋愛未満で終わる二人と、それぞれの元恋人や妻との恋愛が成就していく話。つまり、ありきたりなストーリーだ。プロットと、エンドクレジットに工夫があり、2010年代らしさが…

この世界の片隅に(2016) - 日記風

片渕須直監督 シークエンスが短く続くため、日記風の戦争描写に見える。

The World's End(2013) - WTF

Edgr Wright監督 撮り方が上手。前半1/3がすぎると、突然エイリアンの話になる。このエイリアンには緊張感がなく、おおよそ殺人とは程遠いほどの善良さすら見せており、従来のエイリアン概念を覆す。

Whiplash (2014) - 滴る血とともに

Damien Chazelle監督 シンバルに滴る血とともに、浴びせられる罵詈雑言に『フルメタルジャケット』を思い出さずにはいられない。『フルメタルジャケット』の前半部を、現代的に解釈するとどうなるか。突き詰めると、本作のストーリーが出来上がる。主人公は…

Tale of tales (2015) - さりげない新しさ

Matteo Garrone監督 新しいタイプのストーリーの陰に隠れているが、撮り方も斬新なものが多い。古い原作だが、描かれている女性像はまさに現代よりで、今までの映画歴史では男の脇役でしかなかった女というキャラクターが一瞬たりとも現れず、奇妙な化け物と…

Diamond Island (2016) - 現代の危うさ

Davy Chou監督 青春時代に特有の笑いの要素を多く入れているが、描かれているのは現代の危うさ、若者の不安定さ、いつ訪れるかわからぬ破滅への静かなる警戒である。夜景の青ネオンが非常に綺麗。

The revenant (2015) - 責任の所在を神に丸投げする

Alejandro González Iñárritu監督 過剰なクローズアップと、画面が揺れるのを厭わない大胆なカメラ移動によって、さながら観客自らが主人公のように感じる。もはや使い古された、復讐の責任の所在を神に丸投げする、アメリカ文化ならではの病が、本作でも十…

BRIGHTEST STAR (2013) - 普通

Maggie Kiley監督 普通の恋愛映画。

Mission: Impossible - Rogue Nation (2015) - ライトタッチ

Christopher McQuarrie監督 頭上からのショット、車載カメラ、撮影の手法はまさに大衆好みに寄り添っている。ストーリーは、謎を多く残した設定、戦闘と潜入のみ映し続ける姿勢、女優の肌露出を多くする、派手めのクラシック音楽を流して格調高い雰囲気を目…

Like Someone in Love(2012) - 説話空間の内側より

Abbas Kiarostami監督 映画化するほどのテーマだったのか、陳腐で向上性のないストーリーである。本作の良さは撮り方にある。その中でも、車のフロントガラスが青い空に反射し、まるで中にいる登場人物たちを隠すような、観客に登場人物を見たい欲求を惹起さ…

Carnage (2011) - 修羅場

Roman Polanski監督 なかなか映画的に面白い試みで、内容はスリリングであった。もちろん、現実に本作のような状況は発生しないのであって、仲が悪くなればさっさと帰る筈である。そこを、大人4人をあえて帰らせないように、言葉で侮辱したり、酒を持ち出し…

Love (2015) - アダルトビデオと垣根

Gaspar Noé監督 しばしば、アダルトビデオと映画のセクシーなシークエンスの境界線の存在について悩んでいた私は、ついに、本作によってその垣根が完全に解消されてしまったという意味で、センセーショナルな映画であった。もちろん、アダルトビデオと本作は…

Skyfall(2012) - よく練られた

Sam Mendes監督 21世紀らしいアクション、近代的なマカオのビル、それとは打って変わってオールドファッションなアストン・マーチン、ラスボスはまさかの古典的方法で殺す。よく練られたアクション映画であった。シリーズ50周年ということもあってか興行収入…

Gravity (2013) - 普通

Alfonso Cuarón監督 撮り方は非常におもしろかった。内容はつまらないと感じたが、いずれにせよ素晴らしい視聴体験である。もし、アメリカ映画かぶれした脚本を辞め、冗長でかつ不必要きわまりないスクリプトを50%削減したら、より良い作品になった。死の淵…

Amour (2012) - ショットの切り方が秀逸

Michael Haneke 何しろショットの切り方が秀逸なのでそれだけでも観る価値があった作品。『24時間の情事』のEmmanuelle Rivaのことが好きだったが、本作でこんなに品のあるおばあさんになるとは思わなかった。役者のことはともかく、作品の中で現実と幻想が…

The Tree of Life (2011) - 好みではないが、秀作に違いない。

Terrence Malick監督 恐竜が出てきたり、太陽系や惑星のCGが登場したりと、まるでDIscovery channelのような趣旨でもあり、従来の映画のストーリーの枠組みに収まらないシークエンスが続くのであるが、視聴した際はその点が好みではなかった。後半のシークエ…

Life of Pi (2012) - トビウオ大群のCGが素早い

Ang Lee監督 実写化が難しかったであろう原作を、ここまで映画化できるという技術に驚嘆した。おそらく、ファンタジー映画の新しい型を今回の作品は開拓した。従来の非現実世界を前提とした非現実感覚の描写ではなく、あくまでも現実世界を前提とした非現実…

Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance (2015) - すべてを飲み込む新たな虚構

Alejandro González Iñárritu監督 監督はメキシコ出身である。以前『ダニエラ 17歳の本能』の項でも触れたとおり、2010年台はフランスやアメリカ合衆国などの、映画の歴史を牽引してきた国の出身者ではなく、新興国出身の監督の勢いがすごい。彼は本作におい…

Dheepan(2015) - 良さが、わかりません。

Jacques Audiard監督 映像は、本当に綺麗。撮影も素晴らしい。私がもし受賞するのであれば、それはフランスにおける移民の苦悩にスポットを当てたことが2015年の欧州の風潮に極めてマッチしたから、という理由をつける。しかし、気に入らないのは後半になっ…

Winter Sleep(2014) - 偽善を埋めてしまうような、静かな雪。

Nuri Bilge Ceylan監督 破竹の勢いでカンヌ国際映画祭の賞を、まるで正確にコレクションしていくかのように、もしくはまさに彼こそがカンヌの渇望していた監督だと言わんばかりの、盛況振りを見せている。Nuri Bilge Ceylan監督はまだ若いのに、非常に有望で…

O CONQUISTADOR CONQUISTADO (2012) - 観光客

Manoel de Oliveira 監督 『ポルトガル、ここに誕生す~ギマランイス歴史地区』に収録されている。 独創性と風刺を堪能できる作品である。根底には歴史というテーマがあり、主題として彫像と観光客が登場するわけである。よく考えてみれば、観光客という属性…

VIDROS PARTIDOS (2012) - もはや劇を必要としない

Victor Erice 監督 『ポルトガル、ここに誕生す~ギマランイス歴史地区』に収録されている。 本作には劇がない。あるテーマを描くために主題からフィクションのストーリーを展開する、あの劇である。もちろん今回もフィクションのストーリーを展開しているの…

SWEET EXORCIST (2012) - 気鋭

Pedro Costa監督 『ポルトガル、ここに誕生す~ギマランイス歴史地区』に収録されている。 どちらかといえば属性はアートに近い。まだ新進気鋭の監督だから、自分の目線で世界の在り方を地道に強力に作り上げた。そのため収録されたオムニバスの中では一番時…

O TASQUEIRO(2012) - 健在

Aki Kaurismäki監督 『ポルトガル、ここに誕生す~ギマランイス歴史地区』に収録されている。 ある男のたった5つか6つくらいのショートエピソードを繋げただけで的確に人物描写をする。これがAki Kaurismäki監督の実力であり他の監督にはできない。装置とし…

Never Let Me Go (2010) - 童顔の功績

Mark Romanek監督 奇跡といえるほどの童顔、キャリー・マリガンとガーフィールドの出演によって本作は成り立っている。顔の老けた俳優たちであったら、退屈なダーク・サイエンス・フィクションになってしまっただろう。本作鑑賞後に、原作小説を読んだのだが…

A Way in Untilled (2012) - 自然の営みの時間を忘れた永遠なる概念

Pierre Huyghe監督 10分に満たないこの作品の中には、裸婦の彫刻とそれに群がる蜂の大群によって対比されている。あるいは、澄んだ水の中で水を掻き分けるのすら重労働であるかのように必死にうごめく水生昆虫や、犬の四肢に群がってその肉を食おうとするア…

Dracula 3D (2012) - 3Dなら楽しかろう

Dario Argento監督 個人的に気に入らなかった部分は、ドラキュラ伯爵のカットが多く感じた点である。あまりにも吸血鬼たちがあっけなく殺されるので、少なくともドラキュラ伯爵には超常的な魅力を描写して欲しかったのだが、カットが多すぎたために数ある凡…

Simon Werner a disparu (2010) - スパイシーな映画

Fabrice Gobert監督 今回観て、真っ先に思い浮かぶ映画は『Elephant』であるが、おそらく本作に特有である点は一つの事件が必然的に起きたのかそれとも偶然的であるのかという違いである。明らかに今回、Simon Wernerはあまり「意味を持たない」行動、teenag…

My Week with Marilyn(2011) - 一人のスターの背後には何百もの・・・

Simon Curtis監督 今回観てわかったのは、一人の俳優が画面で演じる背後には実にたくさんの協力者がいることである。たとえ不能な役者であっても、潜在的なファム・ファタールぶりを見せても居ることに変わりはなく、すなわち今回のマリリンである。背後には…

リトル・マエストラ (2013) - 好きではない。

雑賀俊郎監督 私の邦画チョイスが悪いのかもしれないが、邦画は大抵群像になりがちである。それも割と特徴的な群像の型に落ち込むことが多く、西洋の群像とも違う。今回のように田舎に誰か主人公が単身で乗り込み、その主人公が田舎の人間たちと群像を繰り広…

Hugo (2011) - 満願

Martin Scorsese 監督 かのモヒカン・デニーロを『タクシードライバー』で生み出した過激な天才監督が、ここまで爽やかな視聴後感覚の映画を作るとは! しかも、ジョルジュ・メリエスを実際的な主人公にして自らの作風に順応させてしまうあたり、本作はまさ…

リュウグウノツカイ (2013) - 邦画は「転」から見せる。

ウエダアツシ監督 群像劇としてうまく撮った。1時間程度の尺の中でそれぞれの女子高生が魅力的に映るように撮ることに成功した。そのためには、悪役としての冴えない教師や、反魅力的とも取れるあのマゾな男子高校生(名前は忘れた)がいかに冴えないかを映す…

Rhino Season (2012) - 満腹の1作

Bahman Ghobadi監督 独創的な演出のon parade (オンパレード)で映画通を腹一杯にさせる作品。すべてのシークエンスに一切の妥協がなく、どれもが新しさと恐怖に満ち溢れている。シークエンスは大胆に繋げ、観客が話の筋を多少見失うことすら恐れない。しかし…

The Salvation (2014) - 新しい雰囲気

Kristian Levring監督 台詞が少ない割には音楽と効果音の比重が多く、不思議な視聴後感をもたらす。今までのマカロニ・ウエスタンにはなかった感触で、陳腐なタイトルと脚本を見事に料理した。デンマーク映画は、勧善懲悪を好む日本人にもなじみやすい。Kris…

Last Knights (2015) - 紀里谷はもうだめだ。

紀里谷和明監督 もう冒頭の入り方でわかる。本作が失敗であることに。『CASSHERN』の頃の方がまだ勢いはあったのだけれど、何か妙な気負いがあるのかどうかわからないが、本作は成功しようという野心が見え見えなのであった。これは頂けない、B級映画。役者…

Gainsbourg: A Heroic Life (2010) - CGへの反逆

Joann Sfar 監督 ついにこんな映画を待っていた。2010年代に乗ってもなおCGに頼らない映画である。監督は漫画家としても活躍しているそうであり、アニメーションが登場するが、それらと現実との融合の様が見事である。 映画の面白さや芸術性が単にCGという技…

STAR WARS: THE FORCE AWAKENS(2015) - アメリカ人監督がまさかのアメリカ映画かぶれ

Jeffrey Jacob Abrams 監督 私、J.J Abramasが好きではないのだ。観てみたらやはりつまらなかった。彼は脚本家としてキャリアを積んできて認められているけれど、それ故なのか因果なのか、アメリカB級映画かぶれした脚本ばかり好んで書くのである。本当に安…

Young and Wild (2012) - 映画という媒体の未来

Marialy Rivas 監督。 『アデル、ブルーは熱い色』というレズ映画が出て、私はあまり好きな作品ではなかった。青い髪をしたレア・セドゥがあまりにも奇抜すぎて、絵に描いたような主役風不良で、作品全体の斬新さを衒ったようで陳腐にみえた。 本作『ダニエラ…

Jurassic World (2015) - 非常にうまい現代版「ジュラシックパーク」

Colin Trevorrow 監督。 ジュラシックシリーズの主役は、実はいつもラプトルなのである。前作のラプトルは猛獣のようになりすぎ、本作のラプトルは人間味をつけすぎた。人間とアイコンタクトをするラプトルはあまりに不気味である。とはいえ、『ジュラシック…

How to Train Your Dragon(2010) - 普通の作品

Directed by Chris Sanders, Dean DeBlois ドリームワークス・アニメーションはピクサーよりは毎回制作費を下げて、より量産型の映画製作をしているように感じるが。本作は普通の作品である。やはりアニメの醍醐味といえば空中浮遊と飛行の描写力にあって、…

Monsters University (2013) - 普通の作品

Directed by Dan Scanlon 前作はサリーとワゾウスキが子供の前で必死に「大人」を演じようとしたが、本作は別に普通の子供になっていて、彼らの悩みもストーリーもよくある学園ものを踏襲しただけになった。前は大人の映画だったのが子供の映画になってしま…

へルタースケルター(2012) - 映画の撮り方を知らない。

蜷川実花監督。 全身整形をした沢尻エリカの部屋は、赤を基調にした芸術的ともエキゾチックともいえる空間である。背景には不自然に大きすぎるリップの写真、居間を抜けると彼女の写真が壁にずらっとかかっている。全てが彼女の過去・現在・未来、そして人間…

Moonrise Kingdom (2012) - 凝った配置を徹底する映画を観る。

Wesley Anderson監督 子供が出ているからといって映画が子供だましなのではない。むしろ本作では高度な技術が続いており、十分に大人な映画である。単純なカメラワークと強引なストーリーによる映画の方が子供だましであると感じさせる。 登場人物が直線状も…

Magic in the Moonlight(2014) - 雑になってしまった映画を観る。

Woody Allen as director 考えたことを、一字一句声に出さないではすまないらしい。本作には、ひとりでカウンターで酒を飲み、思考にふける時間は一時も無い。常に画面には二人存在し、Colin Firthは思っていることを滞りなくしゃべるためには、かならず母親…

Adieu au Langage (2014) - 技量の衰えないGodardを観る。

Jean-Luc Godard as director 最後、二輪の華が映し出され、背後を車が走り去ると同時に、子供が生まれる。これは映画独特の暗喩である。モンタージュ文化からくる二画面性から発生した暗喩である。 Godardは映画の進化の方向を予知してか、結果的に先取りす…

Spectre (2015) - 大量の爆発を観る。

Sam Mendes監督。 公表時点で歴代最高の制作費と、最長の上映時間である。大量の爆薬を使わなければならなかった理由は、一体どこにあったと言うのだろう。映画の撮り方にではなく付加価値の方に観客や広報の目が行ってしまうのは、映画が豊かだからなのか貧…

Wild Things : Foursome (2010) - 女が入れ替わり立ち代りのストーリーを観る。

Andy Hurst監督。 Wild Thingsシリーズも遂に四作目を迎え、ストーリーの組み立て方はそのシリーズとまったく同じである。放蕩息子が居て、父の莫大な遺産を継ぐ。しかし、その遺産は遺言によりほとんどが得られないことがわかる。次に放蕩息子にレイプされ…

Holy Motors (2012) - 贅の限りを尽くした、映画未来への希望の予感を観る。

Leos Carax監督。 ここまで、画面のひとつひとつの構成が綺麗な映画は稀有である。昼と夜を明確に意識して使い分け、特に夜のパリの質感は監督の得意とするところで、本作で芸術の域にまで達した。ネオン灯のオレンジ、自動車のキセノンライトによって表現さ…