Lusi Bunuel as director
映画として問題のある箇所が無い。シュールレアリストとして世に認められた、もしくはそう世間に認識されてしまった人間だけあって、監督の放つ独特なショットはシュールでユーモラスにすら感じる作品である。突然レストランで机の下にもぐりこんだり、死に体の主人が突然生気を与えられたり、もしくは夢の中で変態になる。
最近日本の低俗なテレビドラマで流行った昼顔妻は、その源流はもっと人間の不可解で不可分な真理を無理やりにでも映像化しようとしており、画面をカンバスとして欲望と現実の二つの別な絵の具をひとつに混ぜるという荒業なのであって、フランス流に言えば商業映画ではない。
しかし、映画には画面の綺麗さと意表をつく動きを求めるけれども、芸術性は特には求めないというのが私の立場である。故に本作を観るのは人の好み。