a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

リュウグウノツカイ (2013) - 邦画は「転」から見せる。

ウエダアツシ監督

 群像劇としてうまく撮った。1時間程度の尺の中でそれぞれの女子高生が魅力的に映るように撮ることに成功した。そのためには、悪役としての冴えない教師や、反魅力的とも取れるあのマゾな男子高校生(名前は忘れた)がいかに冴えないかを映す作業が肝要になる。逆に言えば彼らがいることで相対的に女子高生の群像が成り立つわけで、1時間の早急な群像を成立させるために、アホみたいな男が必要になるということである。強権的な教師がいて、女尊男卑を甘んじる男子学生がいなければとても1時間でおさまる話でないことは想像すればわかるだろう。

 ところで、邦画は「転」から見せる。起承転結の伝統的な流れでは待ちきれないので、「みんなで妊娠すればいいじゃん」という起承転結でいうところの転から先に見せておく。それから時間軸を前から描写して、すなわち二人妊娠したという事情も踏まえ集団妊娠に至るという、起承転となる。

 そう考えれば、なんと教科書遵守的な作品であることか。