Fabrice Gobert監督
今回観て、真っ先に思い浮かぶ映画は『Elephant』であるが、おそらく本作に特有である点は一つの事件が必然的に起きたのかそれとも偶然的であるのかという違いである。明らかに今回、Simon Wernerはあまり「意味を持たない」行動、teenager特有の気まぐれな行為によって失踪したのであり、劇中の殺人事件は彼らには及びもつかない偶発的なものであり、すなわち明らかに登場人物の彼らは世界の現象に対して非力である。その非力さが映画の面白さを減弱させるのでもなく、むしろ多視点的ストーリーの力によって面白くなりうるのだと示したと評価できる。味がないようでじわじわと効いてくる、スパイシーなテイストである。