a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

BLUE VALENTINE(2010) - それぞれの心の良さがいきなり仇になる恋愛映画。

Derek Cianfrance監督。

アメリカ映画。やはり10’の映画の中でそうとう優秀。天才的な手法は無いが、脚本、カメラワーク、キャスト、音響、すべてが綿密に練られていて、完成度が非常に高い。

見ていて心が痛々しくなる映画。心にダイレクトに響くものが一流のアートであるように感じるし、その意味で本作は一流である筈。

彼氏なり彼女なりがでてくる映画の中で、この映画はとても濃密である。

基本的には、あらかたの恋人映画っていうのは、男の側にも女の側にも、

なにかのストーリー上の心の問題点があって、

ハッピーエンドを妨げるようにしている。

フィルムがまわって、映画のなかで時間が進行していくと、

お互いの努力によって、彼らの問題点が解消される。

(たとえば、それぞれの仕事の成功で、いきなり歯車がうまく回りだしたりする)

すると、男女の情念が成立する、と。ほとんどの恋愛映画はそのようにできている。

この映画は一線を画していて、

そもそも心の問題点があるのではなく、

それぞれの心の良さが、いきなり仇になって、関係が危うくなっていくという、

一般にある映画とは逆の内容。

それ故に、普段は覗く事のできない心の奥底をのぞいているような、ぞくぞくする感覚がある。