a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

なくもんか(2009) - 結局泣いてばかり。

水田伸生監督。

阿部サダオの主演するコメディー。どの静止画をとってみても、彼の演技はぼろが出ないのである。これはかなりの謎で、完全に役が憑依しているのかという雰にみえる。

遺伝的な兄弟が次第に仲良くなっていくというストーリー展開をする。ただし、コメディーではストーリー展開にまったく関係のないようにみえるシークエンスもかなりある。秘伝のタレが逸失した場面などがそれである。微妙にコントである。むしろコントで遊びなのだから、ストーリーとはなんの関係も無いべきなのであるが。コントみたいなストーリーなのか、ストーリーみたいなコントなのかは、状況によって明確に使い分けられなければならない。

題名が「なくもんか」なのに、登場人物が泣きまくっている映画。さらに、主人公がストーリー上の目的のために恣意的であからさまな努力をしているような描写がなく、あくまでも主人公は人生を堪えている。その堪えるという行為をした人間の心の叫びとして、「なくもんか」と言っているのである。その結果として、良妻も兄との絆も獲得してしまうという映画なのである。

日本の部屋は海外とは異なっているので、部屋でのショットアングルは海外のものと異なる。また、複雑な部屋のつながりを利用したパン撮影が多い。人物は右か左に寄ることがおおい。

ところで、コメディーが入る際にはいちど映画音楽を止めるのが普通である。

ブランコの下で土下座するショットなど、よく撮れたなと思う。