a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Un homme est une femme (1966) - フランスらしい即興演出を観る。

Claude Lelouch as director

カラーと白黒のシークエンスが混じっており、その使い分けをどのように定義しているのだろうと不思議に思っていた。実は、これは経済的な理由であって、屋外はカラー、室内は白黒と決めていたのだそうだ。経済的には制約があったが、映画人の精神としては何とも自由な映画である。

また、望遠を多用し、もしくはズームアウトによってキャラクターや風景を画面に出現させるショットが多いので、本作は奥行きの映画だと思っていた。しかし、これも騒音が出る撮影器の影響を気にして、遠巻きに撮影していたためである。

ところで、本作は非常にジャーナリスティックである。この物語は3週間であることが決まっていて、撮影期間は4週間である(撮影期間の理想は3週間である)。スクリプトを用意せず、事前に映画音楽を製作済みで、どのようなシーンであるかを役者に伝えてアドリブをさせる。音楽の雰囲気に支配された映画とも言えるが、音楽にすべてを捧げた結果、かえって即興の自由権を手に入れているような映画である。テイク1の持つ特有の新鮮さを重視し、テイクを重ねる場合にはカメラの位置と動きを必ず変えたという。

また、24時間耐久レースは実際に参加しており、監督ともに24時間耐久をした。役者に映えてくる髭という偶然ですら、期待していたという。

映画のひとつの性質は、即興にある。