a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Frozen (2013) - 2010年代の名作になるだろう。

Chris Buck、Jennifer Lee監督。 ペアの監督で名作となった例が数多いが、女と男の監督が一人ずつというケースは少ない。だからこそ名作を作り得たのだろうか。 遂にやってきた、話題作。英語と日本語吹き替えの両方で観たいと始めから決めていて、ついにレンタル。劇場では観ていなかったが、劇場で観ればよかった。

圧倒的な映像美で他の追随を許さず、ストーリーも複数の伏線がうまく一つにまとまる良好なもの。姉妹なので二つのストーリー展開を同時に行えるのもよかった。

元も子もないことを言うと、姉がグレる話で要約できる。しかし、この映画には映画史にのこりうる。感動を残せる。そういった力がある映画のように思えた。多くの映画は、感動を残すために製作されるが、ほとんどは感動させられる力を持たない。

この物語は、厳密に言えば、アナとエルサの物語ではない。抑圧されがちな社会に生きる、私たちの心について描いている。物語の視線は、ファンタジーではなく、実は大人の心理に向いている。

お気づきだろうか、物語の重要な場面では、いつもアナかエルサの表情ばかりを映している。表情も人間に近い。完全に心理描写に重きを置いた構成だ。実写映画でも、この構成を意図的なのかもしくは過小評価しているのか、採らないことが多いのである。

特に雪山でエルサが歌うかなり重要なシーン。あのシーンで、もっと雪の城を映せばよいものの、アナの顔がいつも画面中央にあって離れない。そして歌にのって、人間がとれる感情がほとんど出ている。この物語の動機である、エルサの数年間にわたる人間味のある苦悩が、得意げな表情で、一度にわかる。

そして大人は、たぶんここに共感する。

CGが感動に転じる瞬間は、表情を克明に描写できる技術力になって初めて可能になるのかもしれない。