ベニー・チャン監督。
類を見ないほどの間抜けな映画。
いままでの映画の中で、落下しながら110番(中国では992番)の通報をする奴をはじめて観た。稀にみる間抜けな悪役集団で、ときおりコメディータッチで死んだりしているほどである。
女が技術者で、壊れた電話機を直してしまうなど、発想がおもしろい箇所が多数ある。
また、最後に音声のみで繋がった女性と再開するショットがある。映画の素材として、家庭内不和の兆しのある男と、アクシデントをその男と共に切り抜ける女が与えられた場合、アメリカ映画ではその男女がキスをして終幕する。つまり、家族が男を見限るというショットが入るのが普通である。ところが、この映画ではアクシデントを切り抜けた男女の関係性は明示されず、男は家族の不和を解消するという事象を経て終幕する。家族を大切にする文化のある中国らしい展開である。
といっても、男は女に暗に食事に誘えというニュアンスの発言もちゃっかりしており、そこは明確には定まらない。やはり、男も多少まぬけなのであった。