Ted Kotcheff監督。
PTSDなのかベトナム戦争で傷つけられた記憶がフラッシュバックする男が、警察と抗争する話。浮浪者だとして警察署に勾留された際、多少雑な扱いをうけてののしられたことで、彼の記憶がフラッシュバックしてしまったらしい。アメリカが海外で行う侵略も、アメリカが国内で日常茶飯事に行っている取締も、根本的な精神は同じであるという、当時のアメリカに対して問題提起をするような作品。というより、暴力が暴力を生むような過程を、祖国のアメリカでも再現するような作品。それをアクション作品として娯楽要素に転換した点が、私は好みである。
しかし最後に種明かしがあり、ランボーが何に苦悩していたのかが明らかになる。社会に適合できていない現状に不満に怒りを露にするが、それが惨めさを一層彼の中に際立たせ、そのためにもっとも苦悩している彼の苦悩を吐露するに至るのである。その一瞬の告白がこの映画を一部感動的なものにしている。
やはり建物は実際に爆発しなければはじまらない。