Don Michael Paul監督。
今月のSteven Seagal出演作。
今回の悪役のボスであるが、湾岸戦争症候群なのではないかと劇中において言われていた。私見であるが、アメリカにおけるアクション映画の悪役は、退役軍人である確率が高いような印象を持っている。その分だけアメリカの光と闇の部分を照らしているということなのだろうか。もしくは、リストラされた人間というパターンも非常に多い。
でかい石油缶の注ぎ口をあけて、火をつけたタバコをその口の上に橋のように乗っけて時限爆弾を作るといった、面白いショットもある。他にも面白かったのは、胸に銃撃をうけた仲間である警察官を、手で心臓マッサージしているSeagalのショット。Seagalの優しさや警察の仲間であることを示そうとしたショットなのだろうが、可哀想によけい胸部が損傷したであろう警察官。しまいには電気警棒で心臓マッサージをさせられるという、稀にみる極悪非道っぷりを発揮しているのである。
映画としては、どうもストーリーの所々を端折る演出が好きなようで、全部を映さない。それがかえって分かりづらい演出になってしまっている。また、登場人物の感情の入り方がわかりやすい。本来はもっと人間の感情の起伏というものは複雑で、ベールに包まれているようなものなのだが、本作では単純でわかりやすい。あからさまなので、そう演者に指導していたのではないか。
映画として多少遊び過ぎである。遊びすぎるというのは、ストーリーを的確に追うという職務を忘れて、その職務になんの関係もない要素ばかりするということである。ただし、本作だけが遊びすぎているわけでもないし、それが悪いということでもないのだが。
メタル音楽ばかり流すので、メタル好きにはいいだろう。映画的な効果は非常に疑問だが。
スローモーションを効果的につかう映画であったが、私出来ればストーモーションをしないで魅せてもらいたいと感じた。