a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Take Care of Your Scarf, Tatiana (1994) - 男と女の視線が交差する一瞬を観る。

Aki Kaurismaki監督。

男と女がいて、女はヒッチハイクで後から車に乗ってくる。全体の2/3が終わるところまで、彼らの仲にはなんら進展が起きず、女は男のことを「フィンランドの男って嫌ねぇ」といった風に陰で悪口を言っている。しかし、ふとした瞬間、運転席にいる男と、外で無造作に椅子に座っている女の視線が、交差する。その後は二人の愛が成就する。この視線の刹那で愛情が発生するか否かが決まり、二度と別のチャンスは無いということ、この緊張感が伝わる映画なのであった。

そして、ある男女の視線が戦いを始めるとき、外野の登場人物は製作者によって五感を失わされていることが多い。たとえば寝ているとか(酔って寝るなど)、熱を出してうなっているとか、彼らは到底その視線を感じることもできなければ、その視線の戦いに参戦することも出来ない。だから、その二人だけが視線を交差できるのであって、映画のストーリーが進むためには非常に都合の良い演出になる。