a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Lost in Translation (2003) - Sophia Coppolaの人間性そのもののような映画を観る。

Sophia Coppola監督。

私はこの監督に、映画の将来を託しているところがあって、それはシークエンスにおける役者の表情応答に対する繊細な感性にある。他の映画には観られないほど、登場人物が目の前の出来事をどう受け取ったのかということに非常に拘る。本作の女の主人公は、目の前の若者の流行話に乗るよりは、ポルシェや哲学などという流行はしないが良い物の価値を知っている自分の方が好き、という感じの多少孤独な人間で、彼女がBill Murrayに接して自分の夫には無い大事な男の価値を見つけた、かどうかは不明であるが、映画が終われば観客は恋愛について少し価値観が見直されているような、そんな価値観の変遷を辿るようなストーリーである。そして、そのストーリーの描写には確実に成功している映画である。どことなく、Sophia Coppolaの人間性やその匂いがする映画である。