a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Mary Jane's Mishap(1903) - 映画萌芽期の天才。

George Albert Smith as director

もしかすると今の映画監督よりもいくつかの点で巧くとっている可能性すらある。まず、画面の対称性を明瞭に描いている。壁にかけられた何かによって山形の対称形が作れている。また、目を引くのは黒猫の存在である。映画において動物が作品を引き立てることを、まさかここまで映画初期の段階で見抜いていたとは、恐れ入るのである。画質が悪いけれども、死ぬ前も、死んだ後もこの猫が登場する。

前例が乏しい中で製作されたこれらのすばらしい手法を見ると、彼は映画の天才であったのだろうかと思う。主演者は彼の妻であるようだが、監督と主演女優との密接な関係性というものすら、作ってしまったかもしれない。どれもが、今でも引き継がれている手法と関係性だからである。

(画面が対象性を保っているだけでなく、女の右脇には黒猫も居る)