Farrelly brothers as directors
キャメラがあまり動かないので目で愉しむ映画ではない。おそろしくカメラの腰が重い作品である。『二番目のキス』、これはカメラの使い方も良かった。本作は全然重い。鈍い作品である。
目で楽しめないのであれば映画として失敗的であると感じる一方で、映画の魔法がよくかかっている作品である。この魔法を自然なタッチで生み出せる独特な感性は、Farrelly兄弟の天賦の才である。カメラワークの細部こそ雑であるが、俗にいうデブの女を心が綺麗という理由でスレンダー美人に見えるという暗示、つまり現代における魔法がシンプルに伝わる構成であった。物語の重要な要素ほど、シンプルに表現する方が良い。シンプルな方がその要素を万人に伝えられるからである。この映画の骨となる重要さを知っているから、Farrelly兄弟はすばらしい監督なのだと言いたい。