Roberto Benigni監督
ロベルト・ベニーニは『ナイト・オン・ザ・プラネット』でタクシー運転手をしていた人。確か田舎出身で手当たり次第に獣姦している仕様も無い役であった。牛を強姦して、羊を強姦して、弾丸のように喋る人。それが監督としているというので観たら、良い映画なのである。
まず、イタリアの独特の台詞。ロベルトとニコレッタ・ブラスキが主役。偶然街であってロベルトが次は約束して会いましょうというと、突然がいいわと言う。几帳面に約束を取り付けない。
二人は結婚して、ナチス・ドイツの収容所に入れられてしまう。小さい息子が一緒にいるが、これはゲームだと刷り込む。駄々をこねると減点、かくれんぼで見つかると、減点。千点まで積み上げると戦車に乗って家に帰れるとだます。見事な映画である。純粋な映画である。息子は父の言葉を信じて、粛清を逃れ続け、最後には無事に帰路につく。そこに父の姿はいないというのが本作の非常に、非常に暗いところ。唯一厳しい現実を見せ付けたところ。でも、死んだことでかえって純愛が永遠に残るような作りになっている。
カメラワークはそこまで良いとは思わないが、悲惨な世界を常に前向きに生きるというテーマが良い。コメディアンだから良い脚本と、よい演技ができるのだ。