a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

バトルオブパシフィック(2012) - 今世紀で指折りのポンコツ映画

Thunder Levin監督。 アメリカ映画。えっ、と思ってしまう今世紀で指折りのポンコツ映画。何からなにまでぽんこつ。 その残念さの際立っているのは敵戦艦のCGがポリゴンであるという。2012年の映画にもかかわらず、90年代でも十分可能であったであろうCG技術に劣っているのである。
あまりにも可哀想になるぐらいの低予算である。


そして、更に残念であったのが、キスシーンの強引さである。アメリカ映画においては適切なタイミングでキスシーンを組み込むことが脚本の力量なのだが、まったくお話にならなかった。
アメリカの戦闘映画では、勝者には栄光をあたえるという精神的性向が暗黙のルールとして存在する。アメリカのお国柄と言ってもよい。そのため、ヒーローは戦闘に勝ったあかつきには何かの栄光が与えられ、大抵はヒロインを獲得することで終了する。つまり、キスシーンは、物語を引き締めて、最終的に幕引きをはかるためのシーンとして機能している。

本作では、確か甲板がゆれて、そのままなだれ込むようにキスシーン。それも、敵戦艦に包囲されているなかで、キャプテンであるヒーローがいきなりいちゃつき始めるのである。私はなんといらいらしたことか。
それで部下は、「仕事に就けー!」と散り散りに持ち場についたが、内心は「見るな見るな、察しろよ」と思っていたに違いない。


ひとつ面白かったのは、本作のヒーローが乗っている戦艦は、博物館行きが決まっていた退役船なのである。
古い船であったが故に、敵戦艦の電磁波攻撃でもダウンすることが無かった。PCなどではなく、真空管を利用して通信しているからである。
そのため、アメリカの最新船団の中で、唯一敵戦艦と交戦できる状態になれた船であった。

この筋書き自体はとても良かったと私は思う。観ていると、罪悪感のある笑いに駆られるが、良くないとは分かっていながらも失笑してしまう出来映えである。


あまりにも低予算・低期間すぎて、この映画自体ほとんど沈没しかけていて、日夜tsutayaの陳列棚からエマージェンシーコールを送っている。